一・二章では、現代のGDPに対する過剰な偏重への警鐘が述べられており、これに関しては大変勉強になりました。
(自分が勉強不足なだけかもしれないが)経済学のテキスト等でも、このようなGDPのマイナス面は教えられていないように思う。
また、一般的な風潮として、そうした長短をよく知らずにGDPがもてはやされる状況を危惧します。
一・二章からの一部抜粋。
・「国家の幸福を、国の収入を尺度に推し測ることはできない」
・「(GNP/GDP)これらの指標は、私たちの暮らしを悪くする無数のことがらを、すべてプラスとして計算する一方で、暮らしを豊かにしてくれるたくさんのことがらはまったく勘定に入れない。」
・「政策は、GDPを上げることではなく、社会全体の幸福を高めることを目標にしなければならない。」
・「現在の市場では、労働者は投票用紙が1枚とすれば、CEOたちは262枚手にしているようなものだ。」
・「モノが豊かになるのではなく、自分自身がもっと豊かになる。」
三章以降は、主にアメリカ経済・経済政策に関しての内容であり、日本においても参考になるかもしれませんが、私としてはあまり興味を引かれませんでした。
著者の主張としては、「そもそも、経済とは何のためにあるのか。」という原点を問い直すことであり、その答えとして「最大多数のための最大幸福を長期にわたってもたらす経済」を示している。
一定の物的豊かさを得、価値観の多様化が進む現代では、もっとみんなの幸せを、そして、何が幸せに繋がるのか、ということをじっくり考えていかなければならない時期にきているのだと思う。
- 感想投稿日 : 2013年9月8日
- 読了日 : 2013年9月8日
- 本棚登録日 : 2013年9月8日
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