美味しんぼ 生肉勝負!! (18) (ビッグ コミックス)

  • 小学館 (1988年12月19日発売)
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本棚登録 : 155
感想 : 8

この巻の最後に入っている「焙じ茶の心」というお話。
最初読んだ時は「身体を壊している奥さんをわざわざ起こしてお茶を入れてもらうなんて、海原雄山は嫌なやつだなあ。どうせ海原雄山だって美味しく入れられるんだろうし、むしろ奥さんに入れてあげればいいのに」と思ったものです。当時私は多分小学生だったと思うのですが。
その後出てくる、小説家・加村鯉一先生の奥様の
「あなたのお母様は、お父様を芸術家として大成させることを人生最大の喜びとしていたと、どうして考えられないの?」
「お父様がなにか一つ、立派な仕事をなしとげるたびに、お母様は心から喜び、満足していたんじゃないかしら?」
「だってそれは、自分自身の業績でもあるんですもの」
という台詞もどうもよくわからず、「私はとても海原雄山の奥様のようにはなれないなあ……」と思って読んでいました。

それから何年もたって、久しぶりに読んでみたところ、なんとなくですがわかる気もします。
尽くすことが幸せ、とでも言うのでしょうか。
この時点では、山岡さんの視点でしかご両親のことが描かれていません。
ですが、海原雄山は奥様をちゃんと顧みていたのだと思います。そしてそれを奥様もちゃんと感じていたのだと。
けれど、子供の目にはわからないものだったのでしょう。

私はもし奥様のように臥せっていたのなら、もうちょっと優しくしてほしいな……一月に一度くらいでいいから、それこそお茶を入れてくれるとか、その程度でよいので。
2012年現在、私は山岡さんや栗田さんとそう変わらない年齢です。これが海原雄山くらいの年齢になれば、また感じ方が違ってくるのかもしれません。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2012年10月30日
本棚登録日 : 2012年10月29日

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