演出家、野田秀樹さんの戯曲集。
見事に読者の期待を裏切ってくれる3作品。衝撃だった。
「まるで世界中が催眠術にかかっている。
ぼうっとしながら、くり返し、くり返し、ロープにはね返っては戻ってくる。そしてドーン。そこで止まれないのか。止まれるはずだ人類ならば。」
エスカレーター式に加速していく暴力の連鎖。21世紀に生きる私たちはまさに戦場のレスラー。
読み終わったあと、心にずっしーんと重いものが残ります。決して感動はしないし、涙を流してさっぱりもしない。でもそれって大切なことじゃないですか?なんでこんな重い気持ちにさせられるのかを考えさせてくれるから。
野田さんは「21世紀を憂える」とはいっても、その根底にはちゃんと愛があるんだなぁ・・・と。だって言ってるじゃない、「21世紀を愛でる戯曲集」でもいいんだ、むしろそんなものを作って欲しいと。
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カテゴリ:
和書
- 感想投稿日 : 2008年4月9日
- 本棚登録日 : 2008年4月9日
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