政と源

著者 :
  • 集英社 (2013年8月26日発売)
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70代越えながらもまだまだ元気(ときどき腰痛)な元銀行員の政とつまみ簪職人の源のふたりの、波瀾万丈?なエピソードをつづった基本笑えてホロリともくる連作短編集。
政は妻と別居中で、連絡も途絶えがちながら様子を知りたくてやきもきしている。源は手前勝手に毎日を生きて弟子を精いっぱい叱り飛ばしながら愛して育てていて、ただその心にはいつまでも亡くなった妻がいる。そんなそれぞれの境遇を背景に、長い間ともに生きているふたりの絆、情の深さを軽いやり取りの中から感じ取れます。

軽く友情、というものではなく、もう絡み合った鎖のようなふたりの関係には尊さすら感じるくらいで、うらやましさばかりを感じます。これだけ信頼しあえる関係は、望んでもたらされるものではないですからね。終わりを感じ始めるこの年ごろ、けれど先をまだ信じ楽しみに今を生きれるということは、なかなかできません。

結構めちゃくちゃなエピソードもありはしますが(でも源さん素敵…)そうなれればいいな。という願いを抱けた、ほっと息がつける暖かな短編集でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年10月1日
読了日 : 2014年9月29日
本棚登録日 : 2014年10月1日

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