再読。サルトルの引用文で始まるこの小説、行き場のない青年達の渇望と絶望の犇めきに押し潰されそうだ。ここではないどこかに行きたい。そう、なまじ渇望があるから絶望も比例する。内なる自己の叫び声を聞いてしまった時、最早逃げ場さえも失ってしまう。なんて苦しく悲しい結末。でも私はこの小説が大好きだ。一縷の望みすら断たれ破滅に向かうガラスの心の優しい青年達。叩け、叩き壊してやれ。誰もが健全に前向きに生きられるわけではない。当時の大江の苦しみそのままに生々しい鮮血が行間に滴る。これぞ真正の青春小説。この痛みを忘れるな。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2014年1月12日
- 読了日 : 2013年7月23日
- 本棚登録日 : 2014年1月12日
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