上巻はアウトサイダーたるものの定義と自覚への過程が、主に実存主義の立場で考察され共感できた。解決編に当たる下巻は一挙にオカルトじみてきて戸惑う。最終的には宗教に帰結するが、その経緯はあまりに過酷で壮大だ。アウトサイダーに共感しながら壁を超えれない半アウトサイダーが自分だ(自らをインサイダーと認めたくない意地もある)。若い頃読んでいたら違ったかな。老いに従い保全を固め、且つロカンタンのペシミズムから抜け出せない万年青二才を知らしめられつつ、自己実現を志向した超人らの文献を的確な引用で沢山読めたのは有用だった。
知的スリラーとの呼び名の通り、読み物として抜群に面白かった。
読書状況:読み終わった
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評論
- 感想投稿日 : 2015年2月9日
- 読了日 : 2015年2月9日
- 本棚登録日 : 2015年2月9日
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