少年期から青年期にかけてのサイードの自伝。パレスチナで生まれ、エジプトで育ち、アメリカ国籍を持つという複雑な出自、アラブ・ブルジョワジー家庭の厳しい抑圧の中で悶々と苦しむエドワードに何度もエールを送り、感情移入甚だしいウザい読み手と化してしまった。「どこに置いても異質なわたし」という観念に付き纏われ「周辺的」な存在としての内省的自意識が、やがて怒れる知識人へと開花する黎明期。胎動がトクトク伝わってくる。当時のシャーミー上流社会の儚さを歴史の推移と共に綴る記憶は甘酸っぱくてほろ苦い。抒情的なサイードもまたいい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
自伝
- 感想投稿日 : 2014年7月9日
- 読了日 : 2014年7月9日
- 本棚登録日 : 2014年7月9日
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