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この小説は典型的な神話である。200歳まで生きるという目標がまず人間的ではない。加えて知力、体力ともに人間離れした主人公はいかにも主人公が一種の神格であり、その神格が人間の形をとって人間界に存在していることを示している。メソポタミア神話におけるギルガメシュ、ギリシャ神話におけるペルセウス、インド神話におけるクリシュナ、そしてキリスト教におけるイエス・キリストが例に挙げられる。

本書の主人公も、前述の神話群の主人公たちのように人間界で苦労を経験していく。ただこれも神話群の主人公たちのように、その生き方はひたむきである。主人公は、本来的には人ならざるものであるが、しかし死は避けられない。まさに200歳まで生きることを目標とするのはこういった物語の主人公らしい。

小説としては主人公の女性「成瀬」を中心とした青春群像が短編の形で時系列に述べられていくというもの。成瀬を取り巻くキャラクターたちの人間くささが成瀬を際立たせているし、成瀬の人間らしい一面が描かれる際には微笑を禁じ得ない。

人間界に降りた神格を描く神話というものは本質的に無限の生を生きる神格と有限の生を生きる人間を対比するものとなっている。青春という一瞬の煌めきは本質的に神話なのだと理解できた。

何か策を弄するような小説でもない。ただひたむきに生きる成瀬の姿には清々しさを覚える。彼女の行動は日々を大切に生きることの大切さをあらためて教えてくれる。本書がマーケティングによって安易に消費されてしまうのももったいない。一方である意味ではステレオタイプな小説ではあるのでその誹りを受けるところもあるだろうが。しかし、本書は真っ当な青春小説として正しい評価を得るべきものだろう。私もまだまだ若いつもりだ。成瀬のように清々しく生きたい。爽やかな読後感が残る快作。

2024年4月12日

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