巻末の北村薫の直截な選評が面白い.

2018年6月7日

読書状況 読み終わった [2018年6月7日]
カテゴリ 小説

とんでもない傑作.

なお,表現にやや晦渋,冗長なところがあり,いささか読みづらい部分があるが,そういった部分は大胆に飛ばしても差し支えない.

2018年3月1日

読書状況 読み終わった [2018年3月1日]
カテゴリ 小説

ご存知の通り,太平洋戦争(日本人の立場からは大東亜戦争と言うべきかもしれませんが)初期の約半年間に限っては,日本は大きな勝利を重ねていました.前代未聞の「空母機動艦隊」というアイデアは,真珠湾の米国大戦艦群を火の海の叩き込み,栄光の大英帝国海軍を太平洋から駆逐.彼らはインド洋まで進出,敵国の根拠地を覆滅しながらの大航海をしました.しかしその機動艦隊の栄光も,ミッドウェイで深い深い海の底に葬り去られます…….本書はそんな「日本が勝っていた半年間,アメリカから見れば,「我々が負け犬だった」半年間の話です.

日本海軍のミッドウェイにおける失敗,またそれを敷衍して,日本海軍の米海軍における根本的な戦略の失敗に関する,日本人の手による書は多く読みましたが,米国の立場から,個別の人物の日常にまで迫って書かれた書は初めて読みました.

2018年3月31日

読書状況 読み終わった [2018年3月31日]

月村了衛というと私は『機龍警察』なんですが,この方はもともと時代劇の脚本家なんですね.確かに『機龍警察』の外連味,仰々しさは時代劇に通じるものがある.その意味では本作は彼の十八番とも言うべきもので,時代劇のお約束を巧みに利用しつつ,現代的な諧謔を織り込んだ本作の面白さは実に素晴らしい.

2017年7月24日

読書状況 読み終わった [2017年7月24日]
カテゴリ 小説

スポーツに関する技術書のような,瞑想に関する具体的な技術について記した本を期待していたのだが,その点では半分満足半分期待外れ,というところ.

瞑想に関する具体的な技術,方法についての記載はもちろんあるのだが,著者独自のいささか珍妙な理論が全編にわたって繰り広げられており,その辺りを差し引いて読む必要がある.著者独自の理論については,ある種の自己啓発本の焼き直し,雑多な寄せ集めという印象.

そういった部分を自分なりに取捨選択して読める人にはおすすめ.何も知らない人がこれを読むとちょっとおかしな人になってしまうのではないかと危惧される.瞑想そのものの方法については参考になった.

2018年3月26日

読書状況 読み終わった [2018年3月26日]
カテゴリ 実用書

読書家の友人らと、最近のライトノベルを1つ読んでみようということになり、 Amazon で適当に探したところこの印象的な書名が目に留まり、通読。

MMORPG 内で懇意しているプレイヤが実は美少女であり、しかも彼女はロトくじで4億円を当てたという。彼女はまさに社会不適合者であり、主人公はその面倒を見ることを決断。4億円でなんとか残りの人生を生きていこうとする2人の生活を面白おかしく描く……という内容。

率直に言って一般の読書家が好むような内容であるとは思いがたいが、現代のライトノベルの主な読者がライトノベルに求める嗜好がこの本を通じて垣間見える点は興味深い。以下に少し挙げてみたい。

1. 等身大の主人公

ライトノベルの主人公といえば、昔は中等教育を受けている最中の学生か、あるいは空想世界における何らかの能力者というところであるが、本作の主人公は社会的弱者といってよい。何らかの仕事は得ているもののあまり高等なものではないようで、電話1本ですぐに退職できる類のものである。主人公は高等教育を受けていない可能性もある。また、社会に関する知識も特に豊富とはいえない。日常生活、特に料理に関する描写や、日本の年中行事におけるやりとりなどから、庇護の対象である少女だけでなく、主人公もいささか社会常識を欠いていることがわかる。これらの主人公の性格は、おそらく、現代のライトノベル読者が主人公に対して容易に感情移入することを許すものなのだろう。

2. MMORPG

昨今のライトノベルでは MMORPG が少なからず内容にかかわってくるようだ。現実と違う秩序を、比較的容易に現実に移入するにあたって便利な装置なのだろう。特に、 MMORPG は異質な人物との出会いを実現すること、加えて、ゲーム中での上下関係を現実に移入することで主人公の自尊心や生活を満たすために利用されている。

3. 才能ある存在を庇護すること

ここで描かれる生活が実現された端緒は少女が4億円を当てたことにある。加えて、少女はある分野において、数学であることが示唆されているが、非凡な才能を持つことが示される。一方で少女は完全な社会不適合者であり、それを庇護することに主人公の存在の意義がある。飼い主や執事などといった言葉でそれは強調されるが、主人公は少女の庇護者であることに自分の意義を見出している。

4. 質素な生活

本作が描くのは質素な日常生活である。冒険活劇などはない。4億円を当てて、ゲームで少々の精神的な満足を得て、働かずに、質素な生活を過ごす、という状況は、読者にとって少なからず魅力的なものであるようだ。

5. 現実社会の強者

一方で、主人公達の協力者として、やや性格が破綻した美女と、落ち着いた中年男性が現れる。前者の美女は百貨店の美容部員、後者の男性は起業家、話を追う限りではプライベート・エクイティ・ファンドの代表であるようだ。前者はその美貌で、後者はその知力、財力という点で主人公より社会的に強い立場にある。一方で、彼らはいずれも主人公と少女とともに MMORPG を協力してプレイしている中であり、主人公はそのパーティにおいてリーダーという立場である。ゲーム内での立場が現実に浸透し、少女を含む彼らに対し主人公は現実においては指導力を発揮できる立場にあり、また美女と中年男性の庇護を求めることを主人公はできる。こういった状況は主人公、すなわち読者には、自尊心を満たすこともでき、また現実の生活における助けを得ることもでき、はなはだ都合がよいものであろう。

まとめると、このテキストは、上のような設定を通じて読者に満足感を与える商品、という印象を持った。マーケッティングに基づいてこういった設定を設計しているということでもしあれ...

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2016年6月22日

読書状況 読み終わった [2016年6月22日]
カテゴリ 小説

奴隷として虐げられ生に絶望した少女は、機を見て逃亡するも、逃げた先は魔物が棲まうという深い森。そこで少女は魔物の王に出会い、苦痛に満ちた生を終わらせるべく、魔王に自分を食べるよう懇願するも、それは果たされない。森の中で魔王と過ごすうちに2人の間には奇妙な心の交流が生じる。ふとしたことから魔王への討伐隊が編成されることになり、少女は魔王に囚われていた人間として「救出」されるが、森を出たとき、魔王の呪いによって少女の記憶は失われる。討伐隊によって捕らえられた魔王は、討伐隊を派遣した王の、不具の王子を癒すために利用される。魔王の呪いを解くことによって少女の記憶は回復され、少女は囚われの魔王を解放する。魔王によって王子は癒され、少女と魔王は森に去り、幸せに暮らす。

端的に言えば『美女と野獣』型の異類婚姻譚であるが、平和に暮らす魔物と戦争に明け暮れる野蛮な人間という対比は『ガリバー旅行記』の『フウイヌム国』が想起される。魔物と人間との転倒した関係、過酷な生の記憶から少女を解放する魔王の「呪い」、聖剣、石女、不具、癒される王国など、著者は物語の文法に自覚的であり(『最後のユニコーン』が連想される)、その設計には目を見張るものがあるが、一方で、誠に残念ながら、著者はこれらの素材を融合し一つの物語へと昇華させるための筆力を欠いていた。

この小説には魔王と少女(恋人)、国王と王子(親子)、騎士と聖女(夫婦)、さらに野蛮な人間と成熟した魔物という4つの対立関係があり、これらの対立を回復させるものとして少女の努力、すなわち冒険があるのだが、この少女の冒険が不十分なものであることが本作の最大の問題。『美女と野獣』型の童話では呪われた恋人(男性)救うための主人公(少女)の冒険が物語の山場となるが、本作における少女の冒険は自己の同一性の危機にまで到達しない。失われた記憶が回復してから、人間の世界と魔物の世界の二者択一に際して、少女の苦悩に関する深い描写があればまた違ったのであろうが、この点がいささか軽薄に過ぎる。

加えて、国王と王子の親子関係、騎士と聖女の夫婦関係の対立に関する描写があまりにも浅い。尺の問題があったのだろうか?そのため、物語の頂点に向けて読者の精神は十分に抑圧されず、結果としてその頂点において読者が得る満足は限定的である。

非常に非常に惜しい!とても惜しい作品。著者の構成力には傑出したものを感じるが、それを文章に落とす力がこの時点ではその素材に対して完全に不足していた。おそらくそのことを著者自身自覚しているのではないだろうか?著者の成熟を首を長くして待ちたい。

2016年6月24日

読書状況 読み終わった [2016年6月24日]
カテゴリ 小説

隋末の戦乱時代を男装の武人として駆け抜けた木蘭の従軍記を軸に,時代の群雄を描いた歴史娯楽小説.題材としては,知らなかったのだが,ディズニー映画の『ムーラン』や京劇『花木蘭』と同じものになる.

活き活きとした戦闘描写や田中芳樹らしい格調高い筆致が白眉.海外出張の前に,移動中の暇つぶしにと羽田空港の書店で購入したが,なかなか楽しめた.ただ,面白いことは面白いのだが,長く心に残るようなものではなかった.どうも,主人公や作中の人物たちの心情に対する掘り下げがあまりなく,作中の人物たちにさほど感情移入することができなかったということと,職業作家の作者にとってはあくまでこの題材も小説を書くための1つの材料に過ぎないように思われ,主人公やこの時代に対する作者の強い思い入れといったものが感じられなかったことがその理由ではないかと思われた.

映画や芝居などで広く取り上げられている題材であるので,もう一歩,作者なりの独自の思いといったものがあれば名作になりえたのではないかと思われて,その点が残念.

2016年5月9日

読書状況 読み終わった [2016年5月9日]
カテゴリ 小説

知人か話題にしていたので(誰が話題していたのかもう忘れてしまった)読んでみた。米国のソフトウェア企業の経営者が、優秀なエンジニアを採用するノウハウについて書いたもの。自分にとっては割と身近な話題なので(採用される側としてだが)興味深く読んだ。

内容としては「あるある」なところがあって、面白い。特に実際の面接での質問の進め方などは実践的である。真っ当なソフトウェア企業の採用担当者であればまずこの本は読んでいると思うので、相手の手の内を知る、ということでソフトウェア産業で生きている人は読んでみても損はないと思う。

日本語版があるとは知らなかったので原著で読んだが、簡明な記述なので原著で読んでみてもいいと思う。ユーモアなどが日本語でどう訳されているのかはちょっと気になるが……。

2015年1月3日

読書状況 読み終わった [2015年1月3日]

パワード・スーツが兵器として発達した近未来、パワード・スーツを用いた犯罪に対処するために警視庁に新設した特殊部隊、通称「機龍警察」の活躍を描く警察小説。

近未来の警察部隊を描いた作品というとガジェット的にもまず『パトレイバー』が強く想起されるが、あちらのようなコミカルな要素はまるでなく、むしろハードボイルド、ノワールの性格が強い。物語はいたってシリアスである。むしろ『攻殻機動隊』が近いが、あれほど高度にはテクノロジーはまだ発達しておらず、宣伝文句にもある通り、すぐ近くの未来、「至近未来」を描いている。

作者はこのような、現代との連続性を非常に重視しているようであり、東京都内の工事中の地下鉄路線や横浜みなとみらいの街並みなどのリアルな描写にこだわっており、あくまで現実的な警察小説の体裁を保つことに心がけている。

物語としては、パワード・スーツを利用した犯罪者たちによって機龍警察とは別の、 SAT のパワード・スーツ部隊が壊滅的な被害をこうむるところから始まる。機龍警察の面々はこの犯罪の実行犯を捕らえるために奮闘し、本書の最後では犯人たちが捕らえられるが、この犯罪は警察組織そのものに対する挑戦であることが示唆され、また背後には警察内部の暗闘が存在していることがほのめかされる。

まあ、警察がパワード・スーツを配備しているような未来なのに女子高生がコンビニでノートのコピーを取っているし(スマフォでノートの写真を撮って LINE するような時代でしょ、もう)、大量破壊兵器が衰退するとパワード・スーツが発達するのかとか、やり過ぎ感あふれる登場人物たちの背景設定だとか(伝説の傭兵が警視庁に雇われるものなんだろうか)、 IRA もずいぶん前に静かになったし、回復しきっていない機体を戦場に投入したり、リアリティに欠けるところは多々あるが、まあ、そんなことはどうでもいいんだよ!という圧倒的な勢いがある。これは外連味あふれる娯楽小説であって、「ドラグ・オン!」するところからそれもよくわかるでしょう。

本書は長大な機龍警察サーガの端緒となる一作であり、顔見せの要素が強いが、いやあ、こういうわかりやすい娯楽小説は素晴らしい。この確信犯的な作劇はもう★5つの満点評価。作者はちゃんとわかってると思う。

2014年8月2日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2014年8月2日]
カテゴリ 小説

北原亞以子の直木賞受賞作。化政期の江戸で活躍する様々な女性の人生模様を描いた短編集。

著者曰く、江戸のキャリア・ウーマンを描いたとのこと。手に職を持ったプロフェッショナルの女性たちが、文化的爛熟を迎えつつも衰えを見せ始めた江戸幕府が落とす暗い影に腕一本で立ち向かっていく。

どうにも気になったのは、話がどれもワン・パターンであり、基本的にはろくでもない男に主人公の女性が苦労させられる、という筋になっている。これは著者の持つ女性観、男性観にいささか偏りがあるためなのかどうなのか、化政期の江戸の男性はこういったろくでもない人間ばかりだったのか、そういう男に女性はひっかかるという話なのか、それとも自立した女性たちの姿を浮き上がらせるための修辞上の要だったのかはわからないが、それにしてもワン・パターンに過ぎるように思う。

2014年7月26日

読書状況 読み終わった [2014年7月26日]
カテゴリ 小説

首都圏の焼肉屋の特集。美容院で読んだのだが、わたしも訪れたことのある店がいくつも掲載されており、ぜひ参考にしたいと思い購入。ゆっくり制覇していきたい。

2014年6月9日

読書状況 読み終わった [2014年6月9日]
カテゴリ 雑誌

ミステリはミステリなんだが、物語の筋そのものは軽い恋愛模様などもからむシンプルな探偵小説。物語そのものにはあまり意味がなくて、むしろ読者をその内容について大きく誤解させる叙述トリックが本書をミステリの傑作として成立させている。

本書は、時期の異なる2つの物語が並行して記述されているのだが、この2つの物語の連関が弱く、率直にいって散漫な印象を受けた。過去の話と現在の話に類似性を持たせて、フィナーレでその2つを劇的に変化させることで読者に対して本筋において強い印象を与えることが著者としては狙いにあったと思われるが、それについては率直にいって失敗しているといわざるを得ない。

叙述トリックそのものは、いささか現実的でなく強引なところがあるものの、そもそも現代日本のミステリは相当荒唐無稽なものが多いので、あまり違和感はなかった。本書で問題として取り上げられている状況も現代の日本の社会状況を鋭く指摘するものとなっており、意義深い。問題はやはり稚拙な作劇で、その点が高く仕上がっていればミステリ史に残る一作となった可能性がある。そう考えるといささか残念な一作。

2014年6月9日

読書状況 読み終わった [2014年6月9日]
カテゴリ 小説

TOEFL をはじめて受けようという人向けの本.リーディング,ライティング,リスニング,スピーキングの4つからなる TOEFL の全体像を掴むのには好適.本格的に勉強するためには不十分.個別のタスクの勉強をそれぞれする必要がある.

読書状況 読み終わった
カテゴリ 実用書

単一の起源を持つ地球由来の人類が広く宇宙に広がり、時間的・空間的距離から人類がその形態を大きく変えた遠未来。人類同士は超技術によって彼ら自身の認識を「翻訳」することでコミュニケーションを取っていた。しかし、何らかの理由によってこの「翻訳」の機構に不具合が生じつつあり、それが原因となって宇宙規模のカタストロフィが予感されている。宇宙の為政者たちはその原因を探索するために主人公を異世界に送り込む……というのが基本的なストーリー。

主人公は送り込まれた異世界において時間と空間の概念が逆転している生物と遭遇し、彼らと共にこの異常事態を生じさせた主犯を追うことになる。ここにおいて時間や空間といった基本的な概念すら「翻訳」されうることが示される。一方、探索の過程で問題となってくるのが「翻訳」されえない概念である「ヨヒ」であり、この概念を正しく理解することがすなわち原因の究明において重要になる。

混乱した事態をさんざんさまよった主人公たちは、最後の最後にこの事態の主犯を探し出すことに成功し、それに対して問いかける。主犯とはすなわち読者であり、つまりこの物語が読まれる=解釈される=読者なりに「翻訳」されることによって、この物語は駆動され、また(作者によってもたらされる)読者の理解の混乱がすなわち物語を混乱させているということが理解される。「ヨヒ」とは作中の人物に取っての私であり、まだ読み手によって理解された作中の人物にとっての私であり、またそれを駆動する読者自身でもある。また、ここで、物語の終着点においてその探索の対象物に対して問いかけを行い、これによって世界の不完全性が修復される、という物語を持つ本書がまさに古典的な聖杯の探究譚であることが明らかになる。読者がこの物語の自己回帰的な性質を正しく理解したとき、物語は正常性を取り戻すのだ。

このような具合で、自己認識を主題にした自己回帰的なメタ・フィクションを古典的な聖杯探究の物語として現出させたというなかなか凝った小説なのだが、この本筋そのものは必ずしも目新しいものではない。また、様々な要素が盛り込まれているものの、これらを1つの物語作品として統合しきれていないように感じられ、全体として散漫な印象を持った。さらに、この読者という聖杯に至る前の探索の風景を描写する表現がいささか軽浮に過ぎるように感じられる。せっかくよい主題をよい方法で描いているのだから、もう少しシリアスな、本格的な書き方をしてもよかったのだろうが、これは作者の作風によるものだろう。

主人公の1人の名前が『スキズマトリックス』を思い出させる「リンジー」であるところ(冒頭で述べた本書の世界観などはまさに『スキズマトリックス』の延長といえるものだ)など、過去の SF へのオマージュにあふれ、 SF ファンにはずいぶん楽しめる作品ではあるが、しかし、 SF の歴史に残るような傑作とまではいえないのではないか。

2014年8月4日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2014年8月4日]
カテゴリ 小説

TOEFL のリスニングの得点を上げようと思い購入.基本的には,語彙や文法などはある程度の水準に到達している受験者が,リスニングの得点を上げるためのテクニックが主たる内容. TOEFL のリスニングで出題される問題は全て一定の構造を持つため,これを適切に理解するためにどのような点に着目すればよいか,またどのようにメモを取ればよいか,といった点を繰り返し学習する.効果のほどはまだ未知数だが,それなりに効果のあるものと期待している.

2014年5月8日

読書状況 読み終わった [2014年5月8日]
カテゴリ 実用書

ソフトウェア開発における一種の態度である「アジャイル」のバイブルとでも呼べる一冊.経験豊富なプログラマである著者たちの実体験から引き出された,往々にしてプログラマたちの手から離れ怪物と化してしまうソフトウェア開発をいかに制御するかというノウハウ,心構えが述べられている.

一読した上での最初の印象は,こういったソフトウェア開発の新しい態度を導入するための最大の障害は,同じプログラマの同僚やマネージャであろうということ.アジャイルなソフトウェアの本質は,「変化を恐れない」という態度にあるが,この変化を恐れないという態度を受け入れるのは人間にとって容易なことではないと思われる.アジャイルな態度に出発するには,そういった頑迷固陋な同僚を啓蒙するような力が必要になってくるが,それはもう本書のスコープとは異なったものであろう.

そんな職場はさっさと辞めろ,というのが本書にはある.よりよい環境のためにリスクを取って今の環境から抜け出るのもアジャイルな態度なのだろう.

2014年3月9日

読書状況 読み終わった [2014年3月9日]
カテゴリ 専門書

自動要約の教科書としてはもっとも新しいもので,近年の話題をカバーしている貴重な一冊.これから自動要約において論文などを書いていこうと思っている研究者や学生には必須の一冊と言えよう.近年の組み合わせ最適化に基づくアプローチに関する記述が少々貧しく,これについては実際に原著論文などにあたっていくしかないと思われる.

2014年2月26日

読書状況 読み終わった [2014年2月26日]
カテゴリ 専門書
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うーん,仕事をドロップ・アウトしたと思われる男性が船の中でだらだら暮らす姿を描く.こういう生活を送ってみたい.休暇中に読むのが良いのではないかなあ.

2014年1月24日

読書状況 読み終わった [2014年1月24日]
カテゴリ 小説
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読書会の課題図書であったので再読.相変わらずすさまじい小説で,楽しめた.

最初の読んだのは10年近く前だったが,そのときよりいくらか知恵もついたので,より内容が理解できるようになったように思う.

読書状況 読み終わった
カテゴリ 小説

ノワールの金字塔。過激な暴力描写、北野武の映画の登場人物も裸足で逃げ出す極悪人の数々、主人公の思考をそのままテキストでなぞったような激しい文体などが本書の特徴だが、一方で独特のユーモア、叙情、1950年代の米国西海岸のノスタルジアがあり、これが本書を単なる犯罪小説に留めず著者のエルロイをして米文学において独特の位置を占めさせるに至っている。

エルロイの「暗黒のロサンゼルス4部作」もいよいよ大詰めを迎え、ロサンゼルス市警の名物男にして腐敗警官を束ねるダドリー・リーアム・スミスとそれに立ち向かうエドマンド・エクスリーの暗闘も遂に頂点に達する。更に、ロサンゼルス市警を陥れ、カリフォルニア州司法長官選挙に向けた政治的得点を狙う連邦検事のウェルズ・ヌーナンが登場し、ダドリー・スミス、エクスリー、連邦の暴力に満ちた三つ巴の闘争が巻き起こる。主人公のデイヴィッド・クラインはこの三つ巴の暗闘にエクスリーの手先という形で巻き込まれ、才智と暴力を武器に、時に彼らを利用し時に彼らに利用され、丁々発止のやり取りを繰り広げながら生き残りを図る。

エルロイによる他の作品と同様、大勢の人物が登場し彼らが複雑な人間模様を描く。麻薬密売の元締めであり長年にわたってロサンゼルス市警と癒着しているカフェスジアンの自宅への侵入盗を皮切りとして奇怪な事件が次々と巻き起こり、読者は主人公クラインと一緒にあたかも迷宮をさまようかのように個性的な登場人物たちと事件の間を右往左往することになる。さんざんに振り回された分、物語の終盤に全ての事件が一本の糸——ダドリー・スミスとエクスリーの暗闘という糸に収束したときのカタルシスは誠に筆舌に尽くし難いものがある。

過激な暴力描写は冴えに冴えており、クラインはヌーナンの政治的得点を妨害するために彼の証人を窓から突き落として殺害してしまうわ、ヌーナンの政友を罠にはめて激しく殴打し出馬を撤回させるなどやりたい放題。特にブラス・ナックルをはめてヌーナンの政友をいたぶるシーンや、偽装誘拐を謀った男を拷問するシーンなどはぞくぞくしてしまう。

一方、ユーモアもある。冒頭、ノミ屋の根城となっている居酒屋をガサ入れする場面では、クラインの相棒、ステモンズ・ジュニアが鳥打ち用の銃弾を使うところを誤って通常の散弾を使ってしまい、居酒屋の窓ガラスを粉々に砕いたばかりか中にいたメキシコ人の指を数本吹き飛ばす。居酒屋は大混乱。ここでジュニアは「弾を間違えた」。

文句なしの星5つ。読書の原始的な喜びを思い出させてくれる傑作。最高です。

2014年7月27日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2014年7月27日]
カテゴリ 小説

ある国のある若者が士官学校を卒業し,将校として国境の砦に赴任する.砦はまったく辺鄙なところで,人生の楽しみというものがないが,若者はその血潮をたぎらせる戦いを夢見て砦での生活に埋没する.何十年もの時間が経ち,国境の向こうの砂漠から,ついに砦に向けて敵がやってくるが,そのとき既に若者は老いており,敵と刃を交えることなく,むなしくその生涯を終える.

畢竟,本書は人生の寓話である.多くの人間は,夢をただ待つだけの消極的な人生を過ごし,そして夢はやってくることなく,あるいはやってきたとしてもそのときには自分は既にあまりにも老いており,それをつかむことはできない.夢をつかむためには,自分から打って出ないといけないのだ.

2014年4月10日

読書状況 読み終わった [2014年4月10日]
カテゴリ 小説

SF というよりはタイム・パラドックスを主題にしたミステリ。謎解きに際して、ご都合主義が過ぎるように感じた。パラドックスにパラドックスを重ねており、結局のところこれでは何でもありになってしまう。

2014年8月14日

読書状況 読み終わった [2014年8月14日]
カテゴリ 小説

何かを成し遂げようとする「意志」の性質とその制御に関する本.科学的な知見に裏付けられており,非常に説得力があり効果が期待できる.文章もユーモアに溢れており大変読みやすい.一度読んでみる価値はあると思うが,この内容を活かせるか否かは読者の実践次第である.

2013年12月20日

読書状況 読み終わった [2013年12月20日]
カテゴリ 実用書
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