卵の緒

著者 :
  • マガジンハウス (2002年11月1日発売)
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本棚登録 : 1906
感想 : 350
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ボク・育生は小学生でお母さんとと二人暮し。どうやらボクは「捨て子」に違いない。
だってそうじゃないかって聞いたときの周りの反応が変だし、お母さんに「へその緒を見せて」って言ったら
卵の殻なんて見せられるんだ。・・・『卵の緒』
七子と七生はちょっとワケありの姉弟。七生は父親の愛人の子だからだ。母と二人暮しの七子。
ある日突然母が七生を引き取ると言い出し、七生はやってきた。
小学生の七生はとても人懐こくてしっかりした男の子。母もすっかり気に入ってしまったらしいが
どうしても七子は七生が好きになれなかった。
七生が来て5日目母は入院してしまい、二人きりの生活が始まる。・・・『7's blood』

『卵の緒』は75pくらいの短編なんだけど登場人物がすごく印象的。
特に母親の君子の育生に対する接し方はとてもイイ。ベタベタに愛情を押し付けたりせずサラリとしている。
でもココ!という時にはちゃんとあふれんばかりの愛情をストレートに示す。
登校拒否の男の子とお茶会をするから育生に学校を休めという母親。
なんだか奇妙だったけどとても暖かい母子の姿がそこにあってほのぼのとした気持ちになった。
一方の『7's blood』。小学生でありながら色んなしがらみの中で懸命に生きてきた七生の
健気な明るさがとても巧みに表現されていて切なかった。
七生が七子のために用意した誕生日プレゼントの場面にじーんときてしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 瀬尾まいこ 短編
感想投稿日 : 2011年4月8日
読了日 : 2011年3月30日
本棚登録日 : 2008年11月8日

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