存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて

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本棚登録 : 837
レビュー : 39
著者 :
hjunjiさん デリダ   読み終わった 

東浩紀が実存的な動機で書き始めた論文をまとめた本書。
その動機に抵抗するように、きわめて形式的に書かれている。
感情やゴシップから距離を取ることは大切ではあるが、その徹底的な抵抗が失敗となっている。言い換えれば、転移は避けられなかった。
この著書の結末が散逸した今となっては、各章の間に差し込まれる、東の選択を慎重に検討する必要がある。

第三章までは、比較的デリダの整理に留まっている。
もちろん「奇妙なテクスト」が書かれたデリダ第二期に注目し、幽霊や郵便の隠喩を仮縫いの糸としてデリダの全体を読み解こうとする試みは新しいものであった。
第四章では、浅田彰が指摘しているようにハイデガー読解に問題はあるが、デリダを離れてハイデガーやフロイトにこの問題の系譜を辿ろうとする試みがなされる。
しかし、終盤で提出される「無意識同士がつながる」という仮説は、その問いが含意するものは分かるが、理論的には支持できない。

総じてハードルとしては高いが、デリダの入門書としては充分機能しえる著書になっている。
『批評空間』で試論と自ら呼んでいたこの作業を、単行本にまとめるにあたってそう呼ばなくなったのは、世界に身を晒すという彼の素直な態度だろう。

レビュー投稿日
2010年12月26日
読了日
-
本棚登録日
2010年9月15日
1
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