日本語は、ひらがな+カタカナ+漢字の表音文字と表意文字の組み合わせだ。
読み慣れていないせいだが、英語の文章のアルファベットが並んでいるのを見ていると、ぱっと見で文全体の意味を把握できない。
日本語だと、漢字をつまみ取れば、ひと目で何となく文意を探ることができる。
アルファベットを採用している英語の方が簡単だから、世界共通語足りえるのは当然なのだが。
さて、本書は表意文字しか持たない中国語のタイプライター開発史である。
タイプライターはキーボードに記されたアルファベットをクリックすると、そのアルファベットが紙に印字される。
ところが、中国語の漢字の総数は膨大すぎて、中国語タイプライターといえば巨大な機械という風刺画に描かれるほど。
まず中国語タイプライターを必要としたのは、宣教師だった。
中国語版の聖書を作るためである。
そして時が進むごとに、中国語タイプライターで、どんな内容の文章を作成するのかにより、漢字の配列が変わっていく。
中国語キーボードは、単純にアルファベットの入力と決定的に異なるところは、入力と出力が一致しないことだ。
この違いこそが、機能に決定的な違いを生み出した。
普段、日本語のIMEで変換していたり、何気なくパソコンで文章を作っているけど、英語との決定的な違いは入力⇒文字変換⇒出力という、文字変換の行程を無意識に行っているのだと気づかされた。
パソコンなら文字変換できるけど、タイプライター時代の技術で、どうやって文書を作っていたのかを改めて思い知った。
- 感想投稿日 : 2021年8月9日
- 読了日 : 2021年8月9日
- 本棚登録日 : 2021年8月9日
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