本書を読み終えるのに3週間くらいかかってしまった。内容が面白くない、もしくは難解であるからではない。本書に収められた詩を実際の楽曲を聞きながら、ゆっくりと噛み締めていたからである。
2013年に出版された本書は、15人の日本人ラッパーへのインタビューとその楽曲の詩を収録したものである。15人の顔ぶれは、日本語でのヒップホップの黎明期から活動してきたTwigyやANARCHYなどから、音源を数枚しか出していない若手も含めて非常に幅広い。
都築響一のパーソナリティ故だと思うが、各人は犯罪歴や複雑な家庭事情なども含めて、自身の半生やヒップホップに対する思いを非常に生々しく聞き出すことに成功している。個人的には、その詩の世界観と、昭和的な世界観を見事に現代に映し出すことに成功しており愛聴している鬼のインタビューなどは読み応えがある。
本書のラストは、THA BLUE HERBのILL-BOSTINOである。彼の言葉を噛み締めながら久しぶりに名曲「未来は俺等の手の中」を聞いていたら胸が熱くなった。
https://www.shinchosha.co.jp/hiphop/
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
音楽
- 感想投稿日 : 2021年3月14日
- 読了日 : 2021年3月14日
- 本棚登録日 : 2021年1月26日
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