歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

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レビュー : 18
制作 : ジャレド・ダイアモンド  Jared Diamond  ジェイムズ・A・ロビンソン  James A. Robinson  小坂 恵理 
hokkaidoさん 社会思想   読み終わった 

歴史学という学問は一般的にナラティブで定性的な叙述の積み重ねによるものだと理解されている節があるが、本書では自然実験という統計学のアプローチを用いた歴史学の世界のパースペクティブを極めて明快に提示してくれる。

自然科学において何かしらの因果関係を証明しようとする際には、原因にあたる因子を盛り込んだ実験群と、その因子以外の条件を全て同一にした対照群とで、比較実験を行うアプローチが一般的である。一方、社会科学たる歴史学においては、当然そのような純粋培養された研究室で測定できるような実験は不可能である。

そうした社会科学において取り得る統計的アプローチが自然実験というもので、これは自然環境などの先天的条件や制度・規制・統治方法等の後天的条件などの組み合わせにより疑似的に複数の実験群と対照群を分析する方法論である。

本書では以下のような8つのケーススタディが示される。
・アフリカの奴隷貿易は、その後から現在に連なるアフリカの経済所得の低さと関係しているのか
・太平洋諸島で森林破壊が発生する要因は何か
・アメリカ、メキシコ、ブラジルの銀行制度の設立に影響した因子は何か

本書の面白さは、自然実験というアプローチを、対象が広範囲かつ時間軸も長い歴史学の中でどのように導入することができるかを読むだけでも面白いケーススタディを通じて学べる点にある。これらを通じて、自然実験という統計的手法について同時に理解することができ、歴史学に興味のない人にこそ読んでほしい一冊。

レビュー投稿日
2018年11月29日
読了日
2018年11月29日
本棚登録日
2018年11月11日
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