最後の晩ごはん 師匠と弟子のオムライス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月25日発売)
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本棚登録 : 982
感想 : 78
5

安定のイッキ読み(それでも大事に1章を読んでは休憩を挟んでみた)。
安定の面白さ!!

他の文庫に比べて半分以下くらいの厚みのせいか、この本の値段が480円になってる!!
(税別・・・)

せやけど、今時500円以下で文庫本が買えるのか~。すごいな。
そして500円以下でこんなけ楽しめるなんて、最高やな・・・。

著者の本はどれも好きやけど、一番を選ぶなら絶対にこのシリーズ。
これまた、普段から読書をする人もしない人にもお勧めしたい、読みやすいシリーズやと思います!!


さて、今回はついに夏神さんの過去が明らかになったね・・・。
終盤で、恋人さんの墓前へ行くかどうかの話になっていたので、まだまだ過去と向き合う機会はあるのかも。
対してイガは、美和さんの
「あたしの連絡先は消すな」
と、いう発言。もしかして、芸能界に復帰もありなの!?

ちゅうところで、終わってました。
ますます続きが楽しみ~。

作中の登場人物の言動はわりと著者の人生に比例するんじゃないかとこっそり思うのだけど、著者の本はとてもきれいな言葉を使うと思う。
有川浩氏の本でもそうやけど、どうやったら(他人に対して)そういう言い方ができるんやろうなあ、と、感心してしまう。
慇懃でもなくもちろん無礼でもなく。フレンドリーなのにちゃんと礼儀正しく、わかりやすく伝えている。
だからこそ、イガは対人スキルが高いなあって思う。私もこんなふうに、自然に気持ちよく他人へ言葉を紡げたらいいな。

妹さんとの出会い(?)を筆頭に、家族との関係を一歩前進させた淡海先生からの感謝を
「勿体ない」
と、いう夏神さんとイガに対して、
「僕の感謝の念は僕のものだから、そこは譲れないな」
と、答えたのも、なるほど。

そっか、なるほどな。感謝したい気持ちはこちらのものやから、どういう形で感謝を表すかもこちらの自由ってわけか。
当り前やけど、改めていわれるとなるほどと思ってしまう。

そういや今回もオールキャスト勢ぞろいやったかしら。
一憲さんと奈津さんだけじゃなくて、仁木さんも登場したわ。

仁木さんは前回にストーカーネタで登場したことは覚えてるけど、イガと居合わせた事件現場って何やっけ(笑)?
ほんで、そういや仁木さんは一憲さんのことがずっと好きでしたね!!
「すごいBLぽいよねえこのシリーズ・・・」
って思ってたら正真正銘のBL設定を放り込まれてたな!! ちょっと忘れてた。


ほんで、今回もお約束の涙腺を刺激する展開・・・。いやそこまでではないけど(どっちやねん)今回は師匠へ「へんこ亭」の最後の営業について許可をもらうための挨拶をするシーンが、じーんときた・・・。
いちいちいちいち書かなくても、夏神さんは船倉さんのことをこんなにも慕っているのだというのが伝わって、そんな船倉さんともお別れをせなあかん夏神さんを気の毒にも思うし、またそれを乗り越えようとする彼の姿勢にもじわっと・・・。


そんなふうにしんみりさせてくれるけれども、基本会話はボケツッコミの応酬なので、めっちゃ面白い。
イガとロイドの会話も面白いけど、夏神さんのツッこみも最高。
ザリガニのくだりなんて、声に出して笑っちゃった。
あとは八百万の神のくだりから、「石を投げたら神様にあたる」。
これも、当たらずとも遠からずかもな。


そもそもこのシリーズはイガの成長物語なのかと思っていたらそれだけではないみたいやし、それでもみんな少しずつ前へ前へと進んでいる気がするのに、なんでタイトルが
「最後の」晩ごはん
なんやろう? と、今更のように疑問に感じた・・・。

最後なの? 最後じゃないよね。
今回明らかになった夏神さんの過去だって、「晩ごはん」からスタートしてるのに、なんで「最後」の??

このタイトルがシリーズ全体の伏線やったらどうしよう。
著者はタイトルのつけ方が絶妙やから、なんか怖いわ。

タイトルのつけ方が絶妙やな、と、思ったのは「鬼籍通貨」シリーズやったけれど、今回はこの本も各章のタイトルが絶妙やった。
「最後の晩ごはん」シリーズでも、各章にタイトルってついてたっけ??

■■■■

■八寸

1 1寸の8倍の長さ。約24.2センチ。
2 懐石料理で、主客が杯の献酬をする際の取り肴(ざかな)。また、それを数種類盛り合わせる約24センチ四方の器。白木(しらき)製であるが、会席料理では塗りの木皿を使い、形も四角に限らない。八寸膳。
3 近世、上野(こうずけ)国・信濃国などから産した厚手の和紙。


■穂じそ


■たまさか

[副](「に」を伴っても用いる)
1 思いがけないさま。偶然であるさま。たまたま。「―めぐりあった好機」「―に旧友と出会う」「―の来客」
2 機会が数少ないさま。まれに。たまに。「―郷里に帰ることもある」「―の休日」
[形動ナリ]
1 まれであるさま。
「通ふ人もいと―なり」〈源・手習〉
2 めったにないと思われるさま。ひょっとしてそうなるさま。万一。
「もし天竺 (てんぢく) に―に持て渡りなば」〈竹取〉


■トラウザーズ(trousers)

ズボン。特に、男性用。

(2016.09.17)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年10月30日
読了日 : 2016年9月17日
本棚登録日 : 2016年10月30日

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