東海道四谷怪談 (21世紀によむ日本の古典 20)

著者 :
  • ポプラ社 (2002年5月1日発売)
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本棚登録 : 30
感想 : 7
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 1825年7月に中村座で初上演された四代目鶴屋南北の『東海道四谷怪談』。「あれっ、四谷怪談って東海道となんか関係あったけ?」と気になって読んでみたのですが、東海道と何一つ関係が無い。
 この作品の題名に何故「東海道」という言葉が取って付けられているのかは今ではわからなくなってしまったのだそうです。

 この作品は凄いですね。人間感情のリアリティとエグさが凄い。怪談なのでモチロン幽霊が出て来てそれなりに怖いんですが、それ以上に怖いのは生きてる人間の方だなあと、現代人だから思うのかわからないですが思いました。
(一番ショッキングだったのはお吸い物の中に小判が入ってたシーン。これはえげつない)

 個人的にはシェークスピアの『リア王』を凌駕する悲劇じゃないかなと思います。その徹底的なリアリズムは実在した事件を元にしているということもあるんでしょうけど、大南北71歳の時の作品というのもあるのでしょうね。やっぱり上質な作品は還暦過ぎないと書けないものなのだろうなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学作品
感想投稿日 : 2012年10月14日
読了日 : 2012年10月14日
本棚登録日 : 2012年10月14日

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