告白 (中公文庫)

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本棚登録 : 2634
レビュー : 310
著者 :
honeoさん 小説   読み終わった 

あれ?おかしいな
熊太郎は少数派だったはず。
すくなくともあの物語の、明治初期の人らのなかには、熊太郎ほど思弁的な人間はいなかったはず。

だのに告白を読了したという人たちの口から出てくるのは
「熊太郎の気持ちがよくわかる」
というもの。

それは単に日本人の読書好きには内向的、ないし、もと内向的な人間が本を手に取る確率が高いからという理由もあろう。ましてこれだけ厚みのある本を読もうと思い、最後まで読みきり、ここにたどり着くということは、そこまでの過程で「ふるい」がかけられており、必然的に熊太郎共感組が残った、ということかな。

レビューなのかな、これは。


にしても、現代とはなんと捌け口の多いことか、

昔の人らで思弁的だった人間は、誰に訴えかけることもできず、かりにそのようなことを訴えかけたとしても、「なにいうてんね、こいつ」みたいな目で見られるのがオチだったのかもしれない。
そう考えると、心の空虚さとかなんとなく感じる孤立感とかはあるにせよ、圧倒的な孤独感に襲われることがない現代は恵まれた時代なのかもしれない。


それにしても面白いのは、平次のことを誰も言及していないことである。
この物語の一番の被害者は平次この人であろう。笑
苦笑したそこのあなた、ほんとはわかっているじゃないですか。

みなの意識が知ってかしらずか、「平次とはそういう役回りの人間である」と認識されているような、

同情すらされない平次。

一方、熊太郎はある意味、しあわせものかもしれない…

サブタイトルは平次の悲劇、で決まりやね。


付箋だらけの最高の読書体験になりました。
町田康「告白」、おすすめです。

レビュー投稿日
2016年7月23日
読了日
2016年7月23日
本棚登録日
2016年7月24日
2
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