羊と鋼の森 (文春文庫)

3.88
  • (392)
  • (614)
  • (394)
  • (67)
  • (12)
本棚登録 : 5972
レビュー : 638
著者 :
hongoh-遊民さん 現代小説   読み終わった 

ピアノの演奏あるいはその奏でる音を、豊饒な文体で華麗に表現した小説に、恩田陸著『蜜蜂と遠雷』や中山七里の探偵にしてピアニストの岬洋介シリーズなどがあげられる。
これらの小説がピアニストの視点で書かれているのに対し、本書はピアノ調律師といういわば裏方が、主人公となっている。
高校の時に調律に魅せられた主人公が、調律師となって調律の森へ深く分け入って行く成長物語。
彼が務める楽器店の諸先輩たちとの交流、訪問先での出来事等、全編静謐な筆致で描かれており、読者は調律師の世界の仕事小説としても読むことができる。
原民喜の「明るく静かで澄んでなつかしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のように確かな文体」という文章が、「文体」を「音」に変えて調律の理想として再三語られている。
その他いろいろと応用ができそうな美しい文章だ。

レビュー投稿日
2018年3月5日
読了日
2018年3月1日
本棚登録日
2018年3月5日
16
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『羊と鋼の森 (文春文庫)』のレビューをもっとみる

『羊と鋼の森 (文春文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『羊と鋼の森 (文春文庫)』にhongoh-遊民さんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする