連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)

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本棚登録 : 3967
レビュー : 670
著者 :
hongoh-遊民さん 推理小説   読み終わった 

先日読んだ『テミスの剣』で登場する新米刑事渡瀬が、ベテランとなって活躍するというので、本作(作品発表はこちらが先)を遅まきながら読了。
今作に限っては、著者得意のどんでん返しがないのではと読んでいると、やはり「どんでん返しの帝王」の名に恥じない二転三転が。
しかも、読者に錯覚を起こさせる仕掛けが、あちこちに・・・
すっかり騙されてしまいました。
冒頭は、読み進むにも躊躇を覚えるサイコサスペンスの趣き。しかし、主眼は刑法第三十九条であり、精神鑑定や被害者の人権など、日本の司法制度の抱える問題点を提起する社会派ミステリーといってもいい。
また、ベテラン刑事渡瀬が、捜査が遅々として進まぬ状況の中で、本作のもう一人の主人公で相棒の古手川に語る。
「人々が恐慌状態に陥り、警察がその外圧に圧されて徒に解決を急げば待っているのは誤認逮捕と冤罪だ。・・・それだけはな、絶対やっちゃあいけない間違いなんだ。冤罪ってのは無実の人間の一生を葬り、真犯人を野に放置し、警察への信頼を失墜させる、三重の大罪だ。・・・」
このように考えて行動する刑事がいるなら、日本にいまだにあるだろう冤罪も減ってくるのでは。
さらに、終章で、渡瀬が古手川に刑事の矜持について話す言葉が良い。
「・・・褒章や自己満足じゃなく、お前はお前の泣いている人間のために闘え。手錠も拳銃もお上から与えられたんじゃない。か弱き者、声なき者がお前に託したんだ。それを忘れない限り、お前は自分を許せないような間違いを起こさずに済む。・・・」
渡瀬刑事が、カッコイイね。また彼の活躍を見てみたい。

レビュー投稿日
2017年6月16日
読了日
2017年6月16日
本棚登録日
2017年6月16日
5
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