蟻の菜園 ―アントガーデンー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社 (2015年8月6日発売)
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本棚登録 : 468
感想 : 68
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現実に起きた事件を想起し、ドキュメント小説かのような導入部。しかし、佐方貞人シリーズをものする著者は、現実の事件をモデルに、良質のサスペンス小説に昇華させた。
完璧なアリバイがある容疑者に、疑問を抱いたルポライターの女性主人公は、やがて何とも凄惨な過去を持つ姉妹にたどり着く。主人公はルポライターであるが、過酷な運命をたどる姉妹があくまで主役の物語。
途中挿入される一人称の人物が誰か、読み進む中で読者にも次第に想像がついてくるが、それも著者の計算のうちか。その伏線と、謎解きが最後のページまで読者を惹きつける。題名の意味は、最後で納得できた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 推理小説
感想投稿日 : 2015年9月28日
読了日 : 2015年9月27日
本棚登録日 : 2015年8月21日

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