ヨーロッパの個人主義: 人は自由という思想に耐えられるか (講談社現代新書 176)

著者 :
  • 講談社 (1969年1月1日発売)
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感想 : 6
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のちに保守論客として著名になる西尾幹二氏33歳の著作。初版1969年1月ということで、大学紛争真っ只中である。日本はヨーロッパを追い越した、といった議論の軽さを批判し、日本における個人の不在、極度の中央集権化と脆弱な地方文化、国家意識の未発達を指摘しており、現代にもかなり通用することに正直驚いた。たとえば以下の発言は、グローバリゼーションに翻弄される現代日本の困難を予見したとも言えるだろう。

「もとより、日本的『弱点』はまた、日本的『長所』でもある。ヨーロッパ人は、意志力に長けているが、直観力には弱い。批判力には優れているが、和の精神を欠いている。しかし、それは確かにその通りだが、われわれがみずからの『長所』を失わずして、『弱点』を克服するという二重のむずかしさに耐えるように努力しないかぎり、こんにちのわれわれの内外の困難、たとえば日本社会のけじめのない慢性的混乱と、逼迫する国際状況などを乗り切ることはできないだろう。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年7月27日
読了日 : 2020年7月26日
本棚登録日 : 2020年7月26日

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