二人阿国

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著者 :
happy_readingさん  未設定  読み終わった 

皆川博子さんの「二人阿国」は 出雲の阿国ではなく
笠屋舞の頭・犬太夫の娘のお丹が主役です。

この本 30年前、昭和63年(1988年)8月初版故
本日現在 Amazonで取扱がないです。
いつもながら図書館に借りましたが。^^;

笠屋舞の一座の頭 犬太夫を父に持つお丹。
お丹が能面を付けて踊った事をお上に咎められ 一座は都を追放されてしまいます。
北陸小浜に向かう途中の 大津城で父と生き別れに。

そこで お国のやや子舞の一座の仲間に入れてもらって
佐渡へ渡り また 京へ戻り…お国とともに過ごすうちに

いつか 自分はお国をしのげるのではないかという思いに囚われて…

「ふたり」阿国とはどういう意味か、と不思議でしたが、

お丹が 一座を離れて
美貌を買ってくれた遊郭の三郎左の元で
「佐渡島おくに」と名乗り遊女歌舞伎を始めたからなのですね。

この小説の面白いところは
お国の行動をさらりと描いていますが
お国の細かい感情の描写などはありません。

お国は どっかりと 自分の道を進んでいますが

お国の行動を見て お丹が彼女を恐れたり 
嫉妬の匂いを嗅ぎ取ったり 
お国に認められたいと気色ばんだり 
優越感を持ったり、と
独り相撲のように 感情が揺れ動くところが面白いのです。

時代背景や 背景描写も興味深かったです。

ずっと昔から 舞台はこうあったのだ、と 興味深く読みました。

宝塚歌劇と共通する部分もありました。

以下 斜体部分 本分より引用

お国が 男装をして 見物をわかせるのです。

男の美しさと女の嫋やかさが、金の扇をかざすお国の身一つの上に八重と開いた。

これ、宝塚の男役さんですね。^^


見物の喝采。これにまさる喜ばしいものは、芸人には、ない。舞台と見物衆の芝居
地面の上の見物席とが一つになって、花盛りの空間が出現する。

そう! 舞台と客席のキャッチボールが 楽しいのです!
観客も お芝居を作るのに 一役買ってますね!

つまりは 見物衆を喜ばせ 惹きつけたものが勝つのだ
美い(うつつい)者が 勝つんや


宝塚や~~笑

芸人には、見物が必要なのだ。見物衆を欠いては、絢爛とした花の世界は生じない。

お客様があってこその 舞台ですね。 お客様は神様です!




一座のこふめ姉が身ごもった。
子供を産んだら 追い出す、というお国の言葉に
怪しい堕胎薬で こふめが命を落としたのを見たお丹は 
以前 買ってやる、と言ってくれた 郭の 原三郎左の元へ逃げました。

太夫にするべく みっちりと仕込まれて
お丹は 「佐渡島おくに」と名乗り 遊女歌舞伎を始めました。
「第二のおくに」の誕生です!

豪華な衣装で 華やかな遊女歌舞伎で見物を集める一方

お国は 蜘舞の美少年一蔵を仲間に入れて 男女逆の扮装で
度肝を抜く舞台を披露して沸かせ

互いにライバル心をあらわにしていくのです。

原三郎左の差金か お国たちは都を追われてしまいます。

それでも いくら 遊女歌舞伎が人気を博そうとも

この後 かぶきが誰によってどのように盛んになっていこうとも
かぶきの始祖は出雲のお国であり、かぶきが流行ればそれだけお国の名も高められてゆくのか。
おたんの佐渡島おくにがどれほど人気を得ようと、その名声は、 
やがては出雲のお国の名に収斂されていくのだろうか。


かぶきの始祖という地位は どれだけ頑張っても
後から始めた お丹の手には入らないのです。

彼女の心がチクッと痛んだようです。

お国姉の影で甘んじるものか。

おくにを名乗る お丹のプライドが遊女歌舞伎で勝ったことにすら虚しさを覚えたのでしょう。

三郎左の見世を飛び出し
三味線一本を持って 旅に出たお丹。

お国と対等に勝負したかったのだと思います。

豪華な衣装や楽器や人数でねじ伏せたところで
それは お丹の力ではないからです。

行き倒れの歩き巫女 お国の最期を看取ります。

お丹はお国の最期に 自分の人生の最期を重ね合わせたのでしょうか・・・

それぞれの壮絶な人生、読まされました。

社会の時間に、念仏踊りを始めた 出雲の阿国と習ったのは名前ばかりで
壮絶な人生だったのだと 胸が痛みました。

レビュー投稿日
2018年9月4日
読了日
2018年9月4日
本棚登録日
2018年8月15日
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