新聞記者である著者が、「下世話で知的で、ロジカルでウェット」な最高裁について、その仕組みを解説。著者が取材した中で、とりわけ俗っぽくて、なおかつ最高裁のしくみがよくわかる裁判を厳選して4つ紹介している。例えば、DNA型鑑定が証拠となった親子関係不存在確認訴訟や裁判員裁判で出た死刑判決を破棄した刑事訴訟などである。
本書は、一般人には縁遠く思える最高裁について、非常にわかりやすく、また、(知的に)面白く解き明かしていて、最高裁を身近に感じることができるようになること請け合いである。著者が優れた新聞記者であることがよくわかる。
一つ一つの最高裁判決(決定)に、裁判官も含めた人間ドラマが潜んでいるということがよく感じられた。DNA型鑑定と親子関係、また、夫婦別姓の問題について、現行法の解釈を前提とする裁判で決着するのはなじまず、国民的な議論を踏まえて、立法政策の問題として検討すべきという趣旨の個別意見が出されていたことが印象に残った。立法府の責任というものを感じた。
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- 感想投稿日 : 2017年1月29日
- 読了日 : 2017年1月28日
- 本棚登録日 : 2017年1月11日
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