「安倍一強」の謎 (新書563)

  • 朝日新聞出版 (2016年5月13日発売)
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本書は、日本政治は少しずつ成熟に向かっているという現状認識の下、第2次安倍政権発足以降の「安倍一強」とも呼ばれる状況がなぜ生じているのかについて、一度与党であった自民党が野党になり、再び与党になったというプロセスを経て、安倍自民党政権が政権交代のサイクルを先導している点を理由として指摘する。また、民進党には、政権交代のサイクルの先を行く自民党から学ぶべきは学んで、強い野党となり、政権交代のサイクルをより円滑にし、日本政治の基盤を強めるようエールを送っている。
本書は、各章ごとに、「問い」を設定し、それに答えていくという構成になっている。ただ、正直、最初に設定された問いの答えがすっきりわかるようになっているかというと、あまりそのようには感じられなかった。
一方、個々の指摘は興味深いものが多かった。例えば、「1990年代型改革」の終焉の指摘、菅官房長官以外では官房長官が務まらないような形で内閣官房改革が進められているという指摘、安保法制を巡る動きを踏まえ市民が理解できる「アマチュアリズム」が必要であるという指摘などである。
本書の日本政治の現状認識は、楽観的に過ぎるのではないかという気はしたが、日本政治を成熟させていくうえで、示唆に富む内容であることは間違いない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年6月10日
読了日 : 2017年5月31日
本棚登録日 : 2017年5月1日

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