著者はすべて新聞記者。本書はタイトル通り、企業の内部告発についてのルポルタージュです。新書形態でのルポルタージュも増えましたねえ。このようなものって、テーマが大きいものでは分量が足りないし、小さいものだとマニアックになって売れないし難しいところ。そういう意味で、「企業の内部告発」はよいテーマなんでしょうね。
内容ですが、三菱自動車、ミートホープや船場吉兆から検察裏金まで豊富な事例を提示したものとなっています。一応、企業が取り組んでいる対処法なども紹介しているのですが、それは面白くないんです。新聞記者の取材ものなので、報道される限りのものがスリリングに書かれており、資料としては買いです。
内部告発の難しさは、告発をすることそのものもそうなのですが、その証拠をどのように得て、証明するかにあること、そのため慎重に行動しなくてはならないところにあることがわかります。
ただし、それ以上のものを知りたいと思えば、内部告発者本人の著作か、フィクションにするしかないでしょうね。告発者がマスコミに情報を流すところから逮捕や裁判まで丹念に書かれていますので、ますますその時の人物心情やホンネを知りたいと感じる良書です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新書
- 感想投稿日 : 2010年6月5日
- 読了日 : 2009年11月5日
- 本棚登録日 : 2009年11月5日
みんなの感想をみる