やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

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レビュー : 174
著者 :
hoshisato3さん  未設定  読み終わった 

村上春樹さんが1991年初頭から2年半にわたってニュージャージー州プリンストンに滞在された時のことを書いたエッセイ。湾岸戦争とかビル・クリントン氏が大統領だった頃…の話で、随分前のことではあるのだけど、なかなかに面白かったです。一番面白かったのは、「運動靴をはいて床屋に行こう」の話。海外で6年ほど暮らしながら、安心して任せられる床屋にたどり着くまでの苦労話です。私がここを読んだ時ちょうど美容院に行った時だったのでなんかわかるわ~となりました。そうそう、髪を切ってもらいながらの余計な雑談はない方がいいですよね。アテネの美容室で、髪を洗ってもらったあとに綿棒を2本渡されて、たぶん耳をこれで掃除しなさいという意味なんだろうと思いつつもすぐに鋏を入れられてしまうので掃除出来ずに両手に綿棒を持ったまま困ってしまっている村上春樹さんの図が脳内に描きだされてたいへんウケてしまいました。
村上春樹さんが滞在されたプリンストン大学には日本の官庁とか会社のいわゆるエリート層の人達も多く派遣されていて、普通なまともな人もいる反面、挨拶するなり自分の過去の共通一次(センター試験ではなかった頃)の成績が何点だったとか役職のポジションの高さを延々とアピールしてえばってくる人がいる…というのには驚きました。そんな人達が国を動かす中心部にいるなんて。ショックですよね。昔のことだし、今は違っていてほしい、けど、かわってないのかも。村上春樹さんもおっしゃる通り、まともな人はまともだと信じたいですね。
日本を離れ、海外で暮らすことにより、単なる一人のストレンジャーであることを実感できる状況を持つというのはある意味貴重なこと-とおっしゃるところは、私自身も海外に長く住むものとして理屈抜きに、なるほど、そうかもしれない…としみじみ思うところでありました。

レビュー投稿日
2018年10月31日
読了日
2018年10月31日
本棚登録日
2018年10月18日
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