ケナリも花、サクラも花 (新潮文庫)

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本棚登録 : 216
レビュー : 26
著者 :
hoshisato3さん  未設定  読み終わった 

祖母が韓国人である作家鷺沢萠さんが93年1月から6月までソウルにわたり、延世大の語学堂で韓国語を学んだ時の体験記。一般ウケを狙ったポップな体験記とはかなり違い、内省的な鷺沢さん自身の自分探し(という表現は鷺沢さん自身好きではないらしいけど)のディープな体験記でした。祖母・父・わたしの中に流れる韓国の血を実感し、長いこと理解出来なかった亡きお父さんのことをここで発見出来たことは鷺沢さんにとって大きな出来事だったのでしょう。20歳になるまで祖母が韓国人、つまり在日僑胞であることを知らなかったこともあり、ほとんど一般的な日本人として育ってきた彼女も10代後半くらいになるとなぜだか「他人とは違うんだから」という意識を持たざるを得なくなって友人が作りにくかったらしいです。でも、この語学留学で複数の在日僑胞の仲間と出会ってその「他人とは違うんだから」ということを意識しないですむほどに仲良くなれたとか。そうかといって自分も僑胞か?というと、そうは言いきれない。わからない。そんな複雑な思いでいたということです。べつに僑胞という名称に関わらなくてもいいんでしょうね。
私自身は普通の日本人ですが、韓国人の夫と結婚し夫の両親とともに暮らしてきたので韓国人の血というものがどういうものなのか理屈抜きにわかるところがあります(たぶん)。また、私の子供たちは韓国でずっと暮らしてきたのでほとんど見た目韓国人ですが、私から見て日本人である私の血を明らかにひいているなぁ…と感じることがあります。血って、嘘つけないんですよね。どちらがいいとか悪いとかそういうことではもちろんないです。ハーフである故の悩みとか生きにくさとかあるだろうけど、世間の型にはめることなく、自由に生きてほしいと思ったりします。

鷺沢萠さんはお亡くなりになったそうですが、今もご存命でいらしたらリアルタイムでファンになれたかもしれないのに残念です。
過去の作品を読んでみたいです。

レビュー投稿日
2018年7月21日
読了日
2018年7月21日
本棚登録日
2018年7月16日
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