お気に召すまま@ほとはら

久しぶりにどっぷり物語の世界に浸かって1日で読了。
自粛続きで鬱屈した心に盛岡の自然に彩られた風が吹き抜けたよう。
お涙頂戴の話では決してないのに、何度も温かな涙が流れて涙活になって読後はスッキリ。
作中にある盛岡いいところマップ片手に盛岡の街を旅してみたくなった。
読後あのはいからさんが通るの世界のような「彼方の友へ」の著者だと知って納得。
2冊ともオススメ!

2020年6月2日

読書状況 読み終わった [2020年6月2日]
カテゴリ 伊吹有喜著

【要旨】浅草で男児誘拐事件が発生し、日本中を恐怖と怒りの渦に叩き込んだ。事件を担当する捜査一課の落合昌夫は、子供達から「莫迦」と呼ばれる北国訛りの男の噂を聞く――。

久しぶりに分厚い重厚な内容の本をイッキ読みした。
それだけ先が知りたくてページをめくる手が止められなかった。

昭和39年の東京オリンピックが開催される1年前の話
時代背景が物語る地方格差、収入格差、差別
小さな子供が巻き込まれる話はフィクションだと分かっていても読むのが辛い。

2019年11月2日

読書状況 読み終わった [2019年11月2日]
カテゴリ 奥田英朗著

遅まきながらやっと手にして読了
評判に違わず素晴らしかった
最初から最後まで一気読み
本当に、クラシック全く無知の私にも、そこにある音楽が聴こえてくるような作品だった
コンテスタント誰もがそれぞれに別の個性で魅力的
伸びゆく若者たちの話はいつ読んでも清々しい
映像化されているけど、こういう話の演奏の再現って難しいよね
これこそ音の無い文章の魅力なんだと思うな

2019年6月9日

読書状況 読み終わった [2019年6月9日]
カテゴリ 恩田陸著

【要旨】スマホやSNSが普及し、教師は生徒の悩みを把握しきれない。いじめ、不登校、夜間徘徊―荒れていた中学校は、匿名生徒による自警団「ガーディアン」によって落ち着いた。赴任したばかりの秋葉は単身、学校の謎に迫ろうとする。

先が気になって一気に読んだ。中学生の登場人物が多く、呼び方も苗字だったり名前だったりと人物相関図を理解するのに苦労するがそれが逆に狙いなのかも。
後半全容が見え始めてから当該箇所を読み直して理解する作業が手間に思うか面白いと思うか。私はこれぞ読書の醍醐味で何度もページを戻って読み直すのが面白かった。
多分に御都合主義で良い人ばかりな所は目につくが松山君が友達に言った言葉と卒業生代表の答辞の言葉は胸に来た。
展開からして映画化されそうな作品!
映像化が似合う作品だった。

2019年1月14日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2019年1月14日]
カテゴリ 薬丸岳著

【要旨】孤児だった夏目代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。しかし幼い義弟・翔一郎の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになった。12年後遺体で発見された義弟の葬儀に出ようと故郷に戻った代助は、町の人々の冷たい仕打ちに耐えながら、事件の真相を探るが…。

映像化したら見栄えがするだろうな、という設定や風景。
古くからの風習や田舎の村の雁字搦めの人間関係など、一昔前の金田一シリーズを彷彿とさせるも、飽きずに最後まで一気に読めた。
なかなかご都合主義な人間ばかりで無理矢理なラストにも思えたが面白かったかな。
映画とかになれば面白いかも

2018年9月23日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2018年9月23日]
カテゴリ 遠田潤子著

「命って、ただやってきて、去ってゆくもの。
図書館の本を借りて返すような
本は誰のものでもないはずなのに、読むとその人だけのものになる。
いのちがやどるってそんなもの」

8歳の光ちゃんの言葉が沁みるなぁ

「私たちは図書館の本みたいなもんなんだよ」

そう思うと、借りたものは大切に扱って綺麗なまま返さなきゃ、て思えるな

2018年7月1日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2018年7月1日]
カテゴリ 木皿泉著

【要旨】今は学生でいたくなかった。コンビニでバイトし、青くない海の街でひとり暮らしを始めた。唯一のアイデンティティは深夜ラジオのリスナーってこと。期間限定のこのエセ自立で考え直すつもりが、ヘンな奴らに出会っちまった。つまずき、人づきあい、好きだって気持ち、夢……若さと生きることのすべてが詰まった長篇小説。


二十歳前後の、まだ何者でもない若者たちが持つ一瞬を切り取ったお話し。
自分の中にある、名前のつけられない何かにもがき苦しみ足踏みして。
少しだけ世間とズレて生きづらい人たち。
それぞれがそれぞれに。
でも優しい。
あえて軽いつながりを続けてるんだけど、どこかは深くつながっている様な……
そんな時代が遥か昔になった自分からすると、切なく懐かしく少し羨ましい、二度と帰ってこない一瞬。
こういうのを切り取らせると佐藤多佳子さんは本当に上手いなぁ。

ものすごく良かった。
ひさびさに、読み終わった直後にこの感想打ち込んでる。
そのくらい良かった。
後半どことか構わずホロリホロリと涙が溢れてくるのは気持ちいいよねぇ。
おススメです。

2018年9月24日

読書状況 読み終わった [2018年9月24日]
カテゴリ 佐藤多佳子著

【要旨】昭和36年。小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い―。
山あり谷あり涙あり。昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編!

圧倒的な筆力にグイグイ引っ張られるようにして読み切った!まさに渾身の超大作!登場人物全員が時代の流れに翻弄され抗い挫折しても立ち上がって立ち向かっていく熱量に胸が熱くなった。
何事も模索し悩み迷走しながら前に進んでいくものなのだろう。
「ありがとうございます。直哉に力を与えてくださって」
この言葉に涙が流れた。
「欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むものかもしれない」
良い言葉だなぁ。
また我が子と向き合いたい、自分と向き合いたいと思える本だった。

2017年3月18日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2017年3月18日]
カテゴリ 森絵都著

【要旨】足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足―。従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!

まさに池井戸潤の真骨頂といったところ。
20Pほど読んだ所で時間の都合で止まっていた本を一晩で一気に読みきってしまった。
「空飛ぶタイヤ」「下町ロケット」に通じる爽快さ!分かっていても最後まで読みきって、そして満足する。
エンタメ小説まさに!!と言う1冊。、オススメ!

2017年2月18日

読書状況 読み終わった [2017年2月18日]
カテゴリ 池井戸潤著

【要旨】娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。

「脳死」という社会問題に真っ向から挑んだ作品。日本の最先端技術ならあり得そうな設定が盛り込まれてリアルに話が進んで行く。実際にありそうなこと。でも今までちゃんと考えたこともなかったこと。話の向かう先がわからず、フィクションの物語を傍観するように読み進めて、4/5くらい読んだところで突如涙が。予想外の涙。鼻をかんでもかんでも止まらない涙。なぜ?と思ったら、薫子の気持ちがようやく実感できたから。
自分も2人の子供の母親。あえて正解を押し付けられなかった小説の結末に感謝。こうあるべき、という結末だったら鼻白んでた。妙な奇跡や哲学で終わらなかったのも嬉しかった。わからないことはわからないままでいい。一人一人が考えればいいこと。
押し付けない、巻き込まない。
物語の最後がロマンチックなのも良かったなぁ。

2017年1月15日

読書状況 読み終わった [2017年1月15日]
カテゴリ 東野圭吾著

【要旨】北海道。寂れてしまった炭鉱町。通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。心配性の理髪店主人が暮らす北の町は、案外にぎやか。身に沁みて、心がほぐれる物語。

劇的な過疎村逆転劇も痛快だけど、それよりももう少し現実味のある話。
村人全員古今知らない人はいないような狭い世界故の不自由さも窮屈さもあるだろうけど、知っていてくれているからこその安堵感もあるんだろうな、と思える話し。
最後の1話が良かったな。
青年団頑張れ!

2016年11月23日

読書状況 読み終わった [2016年11月23日]
カテゴリ 奥田英朗著

【要旨】『チルドレン』から、12年。家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちと、罪と罰の物語。

少年犯罪は難しい
裁くのが目的ではないからどの案件も調査結果が書かれてないんだろうな
ラストの若林くんのシーンがいいな
こう言う匂わせるエンディング好み
『チルドレン』の続編らしいので今度読んでみよう

2016年11月20日

読書状況 読み終わった [2016年11月20日]
カテゴリ 伊坂幸太郎著

【要旨】1977年に刊行された佐野洋子の名作絵本『100万回生きたねこ』に捧げる短編集。人気作家13人による短編小説や詩のアンソロジー。
著者は、江國香織、岩瀬成子、くどうなおこ、井上荒野、角田光代、町田康、今江祥智、唯野未歩子、山田詠美、綿矢りさ、川上弘美、広瀬弦、谷川俊太郎。

江國香織さんの「生きる気まんまんだった女の子の話」と広瀬弦さんの「博士とねこ」が好き。
「100万回生きたねこ」のトリビュートらしく、どの短編に出てくる猫も、ひねくれていて達観していて気高くふてぶてしいのがカッコいい。

2016年10月27日

読書状況 読み終わった [2016年10月27日]
カテゴリ アンソロジー

【要旨】月1日東京・杉並。小学校の校門に男児の切断された頭部が置かれていた。
2日埼玉・和光。林で、中学生の少女の刺殺死体が発見された。
3日愛知・名古屋。ス-パーで幼児が行方不明になる。
これらの事件を追う捜査員の姿を丹念に描き、事件の背景、
犯人の動機を重層的に炙り出す五十嵐ミステリーの新たな金字塔。
ベストセラー『誘拐』から7年。星野警部が再び難事件に挑む!

方々に散りばめられたピースが1か所に集約していく様が読んでいて気持ちいい!!
久しぶりに達成感のあった本。
終始ページをめくる手を止められなかった。

2016年10月10日

読書状況 読み終わった [2016年10月10日]
カテゴリ 五十嵐貴久著

高校生だった姉のゆかりは14年前の俺の誕生日に殺された。29歳になった俺は今心に憎しみの炎を持ちながら探偵をしている。

犯罪前歴者の追跡調査を請け負う探偵事務所にまいこむ依頼の連作短編。
「悪党」…調査対象:振り込め詐欺の坂上は中学の頃同級生の健太を恐喝志望校のうえ殺害。依頼人:健太の両親。
「復讐」…調査対象:前畑美代子は16年前1歳と3歳の子供の育児放置の末1歳の子を殺害。依頼人:当時3歳だった生き残りの兄。
「形見」…調査対象:松原文彦は15年前女子大生を暴行し殺害。依頼人:姉。
「盲目」…調査対象:町村優子は男に貢ぐために4年前に勤務する信用金庫の金を横領。依頼人:優子の兄(?)
「慟哭」…調査対象:久保田篤史は12年前ナンパした女性を車内で暴行。依頼人:久保田の弁護士鈴木。
「帰郷」…キャバ嬢の冬美がゆかりの殺害犯寺田に暴行され入院。
「今際」…ゆかりの殺害主犯榎本和也の追跡調査。

2016年10月3日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年10月3日]
カテゴリ 薬丸岳著

ふわふわと幻想世界を漂うようなリアルのお話。
一筋縄ではいかないミステリが織り込まれている感じが結構好み。こっちと思って読み進めていたら、実はこっちだった!みたいな。
2話目からは覆されるのを期待して予想しながら読んでしまった。

「ポンペイのとなり」…年子の姉と弟の話。中学生の頃弟が出奔した。その頃姉は原因不明の頭痛を再発していた。わたしは…(誰)
「フランダースの帽子」…双子かと思うほどよく似た姉妹ミナカナが付いた嘘。私が学生のころ描いた「フランダースの帽子」という絵画と25年後に不思議な再会をした。
「シャンゼリゼで」…母々子が開く読書会。今日の本は「かみのふね」。ゆり彦とまり妃子の話。
「カイロ待ち」…購入した中古の一軒家。誰が住んでいるのかわかりにくい南の隣人。旅行好きの老夫婦が北の隣人。ここに来るたびに起こる謎の頭痛と不快感の正体は?
「ノヴァスコシアの雲」…「雲の事務所」と書かれた瀟洒な一軒家には謎の老婦人がいた。
「伊皿子の夫とパンと種」…スキューバダイビング中の事故で記憶を失った遠田浩紀の話。

「ポンペイのとなり」と「フランダースの帽子」がお気に入り。

2016年10月3日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年10月3日]
カテゴリ 長野まゆみ著

ドラマを見てからの読書。
頭の中で阿部ちゃんが・・・。
個人的にはNHKの三上博の方が好きだけれど、というより吉川晃司より渡部篤郎が非常に好きだったんだけれど。

ストーリーを知っていても読ませる力はさすが!
でもやっぱり本から先に読みたかったなぁ。

2016年9月2日

読書状況 読み終わった [2016年9月2日]
カテゴリ 池井戸潤著

【要旨】小さな温泉街に住む小学五年生の「ぼく」は、子どもと大人の狭間にいた。ぼくは、猛スピードで「大人」になっていく女子たちが恐ろしかった。そして、否応なしに変わっていく自分の身体に抗おうとしていた。そんなとき、コズエがやってきたのだ。コズエはとても変だけれど、とてもきれいで、何かになろうとしていなくて、そのままできちんと足りている、そんな感じがした。そして、コズエは「まく」ことが大好きだった。小石、木の実、ホースから流れ出る水、なんだってまきちらした。そして彼女には、秘密があった。彼女の口からその秘密が語られるとき、私たちは思いもかけない大きな優しさに包まれる。

こどもから大人に変わる心情はとても共感できたけれど、ラストが不消化。
SFかぁ・・・最後までそうと見せかけてリアルで行ってほしかった。こういう形のSFは個人的に苦手らしい。

2016年9月2日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年9月2日]
カテゴリ 西加奈子著

【要旨】悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」の力がじんわり心にしみてくる人気脚本家がはじめて綴った連作長編小説。

連作短編集
「ムムム」・・・笑わなくなった隣の宝さんの話題
「パワースポット」・・・タカラが笑わなくなった理由
「山ガール」・・・山ガールと山登り
「虎尾」・・・従兄弟の虎尾と一樹の車
「魔法のカード」・・・小学生に騙された岩井さんの3枚の魔法のカード
「夕子」・・・涙が止まらない夕子の話
「男子会」・・・突如家出して岩井の家に転がり込んだギフの話し
「一樹」・・・昨夜のカレー、明日のパン

ギフが魅力的。テツコさんの淡々とした感じいいなぁ。一樹とテツコさんの話しもっと読みたかった。
岩井さん、夕子さん、虎尾みんな最後は魅力的に感じるから不思議。
大げさなことが起きるわけじゃなく、淡々とした日常のやり取りなんだけれど、何とも言えない暖かな気持ちになる、そんな1冊。
こういう本はどこがどういい!と勧めるのが一番難しいけれど、感性の合う人には、凄く心に残る本だと思う。
有名脚本家の小説第1段らしい、、、今後も書いてくれるかな?期待大。

2016年7月5日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年7月5日]
カテゴリ 木皿泉著

【要旨】「精神鑑定」に真っ向から挑む感動作!
「心神喪失」の通り魔犯に娘を殺された夫婦。運命を大きく狂わされた二人はついに離婚するが、事件から4年後、元妻が街ですれ違ったのは“あの男”だった……。

精神疾患を患い通り魔事件を起こした犯人の青年。
通り魔事件で被害にあった母親と命を落とした幼い娘。
当時何もできなかった作家の夫。
精神疾患を患っている弟を養うために、夜の町で働く娘。
全てがラストに向かって絡まっていく。
後半からの展開が衝撃すぎて、予想をあまりに裏切る展開に読む手が止まらなくなった。
本当に面白かった!薬丸岳さん今のところハズレなし!!

2016年6月19日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年6月19日]
カテゴリ 薬丸岳著

【要旨】「いざわコーポレーション」の社長であり、10歳年上の妻である章子が、64歳の誕生日の夜、交通事故にあった。意識不明のまま眠り続ける妻の他、社内に人脈を持たぬ亮介は、会社から、そして新潟から追われる。新たな職を得た記念に訪れた銀座のグランドキャバレーで、席についた紗希もまた、その日、19歳で上京してから10年目、タレント事務所からクビを宣告されたのだった。寄る辺ない心を抱えながら出会った二人は、微かに互いを意識しながら別れる。ひと夏に6戸の販売目標を与えられた北海道のリゾートマンションで亮介が目にしたのは、廃墟同然の新古物件だった。絶望感にかられる亮介を追って、東京から紗希がやってくるーー。

もっと心理描写がドロドロした重くまだるっこしい物かと思っていたら、意外にも淡々と話が進んで読みやすかった。
それ故にラストは唐突に感じた。
でもそこに至るまでの心理描写が濃厚ならラストの説得力は増すけれど話が停滞しすぎて途中で飽きていたかも。
このあたりのバランスは難しいところ。

2016年6月19日

読書状況 読み終わった [2016年6月19日]
カテゴリ 桜木紫乃著

【要旨】昭和二十年八月十五日、男たちは戦争に敗れた。今度は女たちの戦が始まる! 敗戦国日本は、男を戦地に駆り出す代わりに、女たちを進駐軍に〈防波堤〉として差し出した――。十四歳の鈴子は、RAA(特殊慰安施設協会)の誕生に立ち会う運命となり、自分の母親を含む、さまざまな階層の女たちの変化と赤裸々な魂を見つめていく……。国家、女と男、アメリカ、自由、そして現在までを問う現代史秘譚刊行。

14歳の鈴子の視点から綴られる戦後。
鈴子の目から見た母親のしたたかな生き様が面白い。
母視点の話の方が躍動感が合っておもしろそうだったから、そっちも読んでみたかった。

2016年6月19日

読書状況 読み終わった [2016年6月19日]
カテゴリ 乃南アサ著

【要旨】二〇〇一年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。
太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…。「この男は、わたしのために殺されたのか?あるいは―」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?

タイトル〚王とサーカス〛の意味するところが分からぬまま読み進め、序盤はネパールの旅行記のようなところから、この本はどこに向かうのかな?と思っていたところに王族殺害事件が勃発。
報道の話しか?と思ったら徐々に犯人探しの形相を帯び、ああ、推理物か!と思っていたら最後全く違う顔を見せる。
最後まで作者の思惑にどっぷり嵌って、『サーカス』の意味に納得。
非常に面白い本だった!

2016年6月19日

読書状況 読み終わった [2016年6月19日]
カテゴリ 米澤穂信著

【要旨】子どもの頃、流行っていたおまじないは、嫌いな人、消したい人の名前を書いた紙を十円玉と一緒に十日間続けて賽銭箱に投げ込むことだった。ある日、子どもたちは消えた子どもについて相談していて……(「十円参り」)。あるホラー作家が語る謎のファンレターの話を聞きぞっとした。私のところにも少し違う同じような怪しい手紙が届いていたからだ。その手紙の主を追及するうちに次々と怪しいことが連続し……(「手紙の主」)。出産のため里帰りしていた町で聞いた怪しい占い師の噂。ある日、スーパーで見知らぬ老女を見かけた瞬間、その人だと直感し……(「私の町の占い師」)。

ところどころ、作家が一人称の話もあって、そういうところ上手いなぁ、と思う。
背筋が凍るようなゾッとする話はないけれど、もぞもぞと腰の落ち着かないような奇妙な気持ちになる話もあって面白かった。

「十円参り」…消したい人を紙に書いて十円玉と一緒に10日間連続して賽銭箱に入れると願いが叶う
「手紙の主」…作家がもらった奇妙なファンレターは、徐々に・・・
「丘の上」…里帰りで戻った実家の座敷の上で観た夢
「殺したもの」…田舎町の宿の食堂で、私が雑誌でバンと叩き潰したものは・・・
「スイッチ」…山手線で隣に座った女性から突如話しかけられた、その日から突然見える人になってしまった
「私の町の占い師」…里帰りした実家の近くに住む、よく当たるという噂の占い師の話
「やみあかご」…夜泣きする赤子、真っ暗い中あやす赤子の、顔は見えない
「だまだまマーク」…幼稚園に通うはるくんが突然言い出した「だまだまマーク」と「ぐるぐるマーク」。幼稚園の片隅にある大木の大きな洞。だまだまマークって?
「マルとバツ」…深夜スーパーの前で1人待っている少女は地面に〇と×を書いていた
「ナマハゲと私」…私は大学の友人と冬休みに実家に帰ることになった。友人はナマハゲに会いたいという・・・
「タイムリミット」…私の町には1年に1度、残酷なかくれんぼゲームが行われる
「噂地図」…高校生になった私たちは、小学生の時に流行った噂地図を作ることにした
「七つのカップ」…小学校の通学路、横断歩道にいつも立っているおばさんがいた。おばさんの子どもはその道路で昔交通事故で亡くなっている。

2016年4月16日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年4月16日]
カテゴリ 辻村深月著
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