妊娠カレンダー (文春文庫)

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本棚登録 : 3330
レビュー : 409
著者 :
放浪金魚さん 日本文学   読み終わった 

表題作を含む3つの短編集。
妊娠は周囲にとっては手放しで喜ばしい出来事であったとしても、当の本人は嬉しいの一言では片付けられない部分があります。我が子を宿した喜び以上に襲ってくる体の変化に対する不安。ちょっとしたことでイライラしたり、今まで普通に口にしていた食べ物から異臭を感じたり、つわりから一切の外出が苦痛になったり…そんな変化に周囲も振り回されていきます。
姉の妊娠をきっかけに生じる姉の変化や自身の冷静(冷徹?)な思いを妹目線で綴った表題作『妊娠カレンダー』。姉の妊娠が知ったものの喜びという感情はピンと来ないし、体を労わる言葉を掛けつつも特に中身はない…そんな毒づいた感情は私が思っている以上に現実的なのかもしれません。
「求めているのはわたし自身じゃないのよ。わたしの中の『妊娠』が求めているの」
「ここで一人勝手にどんどん膨らんでいる生物が、自分の赤ん坊だってことが、どうしてもうまく理解できないの。抽象的で漠然としてて、だけど絶対的で逃れられない」
姉の鋭いセリフも印象的です。小川洋子さんのあとがきも秀逸。

内容を全く知らずにほっこりな作品かと思っていましたが、これほどドロドロした感情が渦巻いていたとは。日常の静かな恐怖。

レビュー投稿日
2016年1月14日
読了日
2016年1月14日
本棚登録日
2016年1月6日
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