芥川龍之介 (ちくま日本文学 2)

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本棚登録 : 272
レビュー : 37
著者 :
放浪金魚さん 日本文学   読み終わった 

気になっていた作品だけ抜粋して読みました。
全体的にさらっと読める作品が多かった分、自由に解釈できそうなので解説本を読みたくなります。以下簡単に感想を。

『トロッコ』
8才の少年だった頃の回想。土砂運搬用のトロッコに興味を持ち、晴れて乗れたもののその帰路に愕然とする。この立ち竦むというか絶句するような瞬間、昔あったなーとくすぐったい懐かしさを感じた。

『鼻』
上唇の上から顎の下まで下がった鼻を持つ内供(ないぐ)の苦悩。人は多少のコンプレックスがあったとしても、受け入れて堂々とする方が心身ともに良い。

『地獄変』
器量よし評判よしの愛娘を持つ絵師良秀に舞い込んだ大殿様からの依頼。恐ろしい光景なのに一文一文を食い入るように読んでしまう魅力がある。父娘は不幸だったのか、互いに本望だったのか。

『藪の中』
あるひとつの事件を様々な視点からの証言で解き明かす。各々の思惑が絡み合い、短い作品ながらぐいぐいと読ませるミステリアスな展開。真相は結局藪の中。

『杜子春』
金持ちになっては散財して一文無しに、を繰り返した杜子春は人の世に嫌気がさして仙人のもとへの弟子入りを決心する。芥川作品の中でも陽な内容だと思う。

『或阿呆の一生』
自殺する1ヶ月前に書き上げ、友人に送った短編小説。心のうちを吐露するような文章。随所に垣間見える生きにくさ。以下の会話文に妙な色気を感じた。
「死にたがっていらっしゃるのですってね。」
「ええ。ーーいえ、死にたがっているよりも生きることに飽きているのです。」

レビュー投稿日
2016年2月21日
読了日
2016年2月21日
本棚登録日
2016年2月21日
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