図書室のキリギリス

著者 :
  • 双葉社 (2013年6月19日発売)
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本棚登録 : 1079
感想 : 168
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夫の失踪をきっかけに働き口を探していたところ、友人の勧めで高校の図書館司書となった詩織。資格を持たない彼女はとまどいながらも本と生徒たちに関わり、自分の居場所を見出していく。

前任司書であった永田さんの資料を頼りに、司書としての仕事を全うしていく詩織。新米司書の彼女の様子も注目ですが、それ以上に図書室で様々な疑問を持ち、表情をコロコロと変えながら成長していく生徒たちの姿が印象的だった。特に企画として試みたブックトークで、彼らは本への想いを込めて堂々と発表する。初めての企画、生き生きと発表する生徒たち、その発表を聞いて本に手を示すであろう別の生徒たち…と想いが連鎖すると思うと、司書冥利に尽きるだろうなと思う。

モノから残留意念を感じ取れる能力については活かしている場面も少なく、必要だったのかは正直なところ分からない。けれど本書を通して、読書の楽しさと魅力に改めて触れることが出来た。そしてここで登場している知らなかった本たちに手を伸ばしたくもなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2015年4月22日
読了日 : 2015年2月28日
本棚登録日 : 2015年1月14日

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