2002年刊。著者が雑誌などに執筆してきた映画評を、20世紀以降の中国史に沿って並べ直したもの。著者の言葉を借りれば「中国語圏の映画がこの二十年間いかに中国を描いてきたか、を読み解くための本」である。『中国映画を読む本』(1996年朝日出版社)と重複する章も多いが加筆・修正がある。
採り上げられる作品も増え、構成は『中国映画を読む本』より整っている。香港返還前後の作品が押さえられているのもありがたい。それでも率直に言って文体が肌に合わず感性にも共通するものが見出せない(こちらの圧倒的知識不足もある)。ここに挙げられた作品を全て見た上で再読すれば、もう少し理解が深まるかもしれない。
各章と触れられている作品
第一章:動乱の中華民国期…『朱家の悲劇』『変臉 この櫂に手を添えて』『ロアン・リンユイ 阮玲玉』『紅夢』『レッド・ダスト』『春桃』『紅いコーリャン』『南京1937』『乳泉村の子』
第二章:恐怖の毛沢東時代…『青い凧』『さらば、わが愛 覇王別姫』『活きる』『初恋のきた道』『太陽の少年』『シュウシュウの季節』『火の鳥』
第三章:鄧小平時代から世紀末・新世紀へ…『プラットホーム』『正義の行方』『秋菊の物語』『山の郵便配達』『心の香り』『新北京物語』『スケッチ・オブ・Peking』『推手』『クレイジー・イングリッシュ』『イチかバチか』
第四章:香港、「返還」とアイデンティティ…『恋する惑星』『天使の涙』『花様年華』『ラヴソング』『メイド・イン・ホンコン』『ホールド・ユー・タイト』『少林サッカー』『天有眼』
第五章:台湾、その自画像…『悲情城市』『沙河悲歌』『牯嶺街少年殺人事件』『カップルズ』『熱帯魚』『青春神話』『河』『恋人たちの食卓』
- 感想投稿日 : 2014年8月18日
- 読了日 : 2014年8月18日
- 本棚登録日 : 2014年8月18日
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