政と源

3.64
  • (179)
  • (527)
  • (492)
  • (62)
  • (7)
本棚登録 : 2926
レビュー : 508
著者 :
じゅんさん  未設定  読み終わった 

元銀行員の政こと国政と、いまだ現役の簪職人の源こと源次郎は、墨田区の荒川と隅田川に挟まれた町に住む幼馴染の“爺い”たち。全く性格の違う二人ながら遠慮のないやり取りの中から見えてくる優しさが楽しいです。.



堅い仕事を定年まで勤め終え、悠々自適のはずの政なのに、今でも職人として仕事を持ち、弟子と丁々発止のやり取りをしている源が羨ましくてたまらない…。
仕事人間で家族との時間も持たずにきたらしく、妻はある日、娘夫婦のところに出て行き、今は一人暮らしというのも、さびしいだろうな、と思ったり、妻から見ればそれだけの夫だったのでは、と言いたくもなったり。

源は少しだけ残った髪を赤にしてみたり、緑にしてみたりとなんとも破天荒で、町を歩いているとあちこちで声をかけられる人気者。

源の弟子の撤平がね、実にいいんですよ。
師匠を尊敬し、せっせと修行に励みつつ、年上の恋人・マミさんを大事にし、また、簪だけではなく、今風のアクセサリーにも応用を効かせる、なんて“爺い”から見たら理想の若者なんだろうな。
彼の作った鯛の指輪が婚約指輪となったのだけど、マミさんがとても喜んでいるのが可愛いし、その気持ちがまたよくわかる。いいよね、私だってこんな指輪をもらったらどんなに嬉しいだろう、って思うもの。

水路を舟で行き来する日常生活や職人としての源の働きぶりなども、とても面白かった。
男二人がずっと友だちでいる、というお話そのものが嬉しかったし。


ただ・・・
政の奥さんの話は、奥行が足りなかったんじゃないかなぁ。
それはそうなんだろうけど・・・と思いつつ、あんまりにも奥さんが意地悪に見えてしまうのが切なかったし、そのあとの展開もちょいと苦しいような。
大事なモチーフだと思うからもうちょい丁寧に描かれてほしいだけど…と、すみません、エラそうですが。

レビュー投稿日
2013年9月28日
読了日
2013年9月28日
本棚登録日
2013年9月28日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『政と源』のレビューをもっとみる

『政と源』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする