晩鐘

3.29
  • (5)
  • (8)
  • (7)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 123
レビュー : 14
著者 :
じゅんさん  未設定  読み終わった 

愛子センセイが繰り返し繰り返し書いてきた前の夫、田畑氏と彼から蒙った有形無形の爆弾。
私は長年の読者なので、その都度、同じ流れの田畑氏話に呆れたり、そんな夫に振り回されつつもケツをまくってしまう(すみません、下品で。)愛子さんに男気を見たり、痛ましくも思ったり。
で、愛子さん御年90歳でまたまた田畑氏の所業がこれでもか、と書き連ねられる・・・。
これはお互い年を重ねるたびに、書かずにいられない、それほど愛子さんの人生行路の中での大きな深い話なのだろう、と思っていたのだけど、今回、田畑氏が亡くなったことを踏まえて書かれた「晩鐘」で、結局、私には彼のことも自分のその時の気持ちもわからない、と記されているその諦観にストンと頷けた。これまで彼のことを書いた原動力は怒りだったり、怒りを通り越した可笑しさだったり、でも、この年になっては、わからない、という不可解さに押されて書いたのだ、という愛子さんのお気持ちがすごくよくわかる気がする。

こんな長い著作を90歳を超えてから上梓されるなんて、しかも、田畑氏のいわゆる“悪行”をこれでもか、と微に入り、細に穿ち滔々と書き並べるその体力に驚きはしたけれど、愛子さんはホントに彼のことがわからないんだなぁ、わからないまま彼から気持ちが離れ、そのまま死なれてしまったんだなぁ、と。

きっとこれが愛子さんの最後の単行本になるのではないだろうか。(なんて、ここ10年程新作が出るたびにそう思ってきたのだけど)
それもまた愛子さんらしくていいのでは、なんて思ってしまう読者です。

レビュー投稿日
2015年3月18日
読了日
2015年3月18日
本棚登録日
2015年3月18日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『晩鐘』のレビューをもっとみる

『晩鐘』のレビューへのコメント

シンさん (2015年3月30日)

じゅんさん、ごぶさたしてます。
『血脈』が出たとき「この年でこんな分厚い本を書くとは……」と感服しましたけど、今度また、ですか!すごいですよね~。いつか読んでみないと。
そうそう、女性セブンに佐藤愛子さんの新連載が載ってたんですよ。
「卒寿おめでとうございます」と言われて「何がめでたい!」と怒り「お元気じゃないですか」と言われて「元気じゃない!」と怒る姿は相変らずで、笑ってしまいました。お元気ですねえ……なんていったらまた怒られちゃいそう(笑)。

ところで、私の「友達のログ」でもじゅんさんの更新記録が表示されないのですが、どうかなさいましたか?じゅんさんのログを指定したら見えるようになりました。

じゅんさん (2015年3月30日)

シン様
コメント、ありがとうございます!(#^.^#)そうですよね、「血脈」での佐藤家の人々への“ぶちまけ感”には、ホントに驚きましたし、愛子さんのタフさにも参った!だったのですが、あれから幾星霜。まだまだ愛子さんはしっかりと作家であり続けている。

そして、また新連載を始められたんですか。私、愛子さんの新作を読むたびに、失礼ながら、きっとこれが最後の作品だよね、と思っているのですけど、その都度、裏切られて(#^.^#)感嘆してしまいます。

そして、更新記録の話・・・。
そうですか、どうなっているんだろ。ブクログに問い合わせてみますね。ありがとうございます!

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする