明治、大正の作家たちによる文学評論を集めたもの。
予想以上に興味深く読み終えた。
作品に接することはあっても、名前の声に触れることが
今迄あまりなかった為である。
生田長江氏の評論にはあまり愉快ではなかった。
個人的には、経歴からは想像もつかない内容だった。
特に感じ入ったのは与謝野晶子氏の評論。
女性について語られたものだが全くもって同感であった。
子を産むことばかりが女の務めではなく
かといってそれを放棄するものでもなく
子供を育てるということは女だけがするものではなく
男もまたするものである。
役割というものは一定ではなく、瞬間瞬間にめまぐるしく変わるものである。
このような慧眼も素晴らしいが、現代においても同じ事を言われつつ
未だ定着しないのもまた嘆かわしい事実。
佐藤春夫氏の
批評というものは作者を批判するものでもなく、読者を誘導するものでもなく、結局批評家彼自身を披瀝するものではなかろうか。
というところにも非常に共感した。
武者小路実篤氏の小説をあまり読んでいないのだが、興味を覚えた。読んでみたいと思った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
実用書・解説書・哲学書
- 感想投稿日 : 2012年2月10日
- 読了日 : 2012年2月9日
- 本棚登録日 : 2012年2月3日
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