恋する文豪 (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング (2008年5月24日発売)
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感想 : 10
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ニュースで取り上げられており、賛否両論だったのが読んだきっかけ。
自分は筆者の他作品も含め、好きではない。人間=恋愛にして、その関係性も恋愛自体も質の低いものに貶めているような気がしてならない。
そんな人が、文豪たちの作品を掴まえて、文学作品をただの恋愛、今時風に言うとスイーツ(笑)としか捉えない視点で批判するという本、と思えた。浅い文章の羅列。

まず、雑誌連載の為に初めて読んだ本を多く取り上げている。
正直、プロの作家の癖に文学作品を全て読んでいないという点が自分には勉強不足に見え、信じられない。にも関わらず、平気で稚拙な論評を繰り返している。
評論の内容もたとえばかり。自分の好みで同じことを褒めたりけなしたり。
「中学生の読解力はこんなものだ」と自分の低レベルさを正当化かつ普遍化しようとしている。
「この話のことを××な話だとみんな思ってるだろう。私もそうだった」
という書き草が多かったが、正直、おまえと一緒にするなと言いたい。
まともに読み解いている人間は、小学生だってもっとまともな解釈をしている。

「売り込むには汚くてもなんでもいいから刺激さえ大きければなんでもいい」
という記述があったが、それはまさに筆者の書いている文章それ自体のことではないだろうか。

文豪と言っても、時代やジャンルが統一されていない。
村上春樹など自分も好きではあるが、夏目漱石と並べて文豪と言うのは何か違う気がするのだが。

ただの感想文。しかも作家の肩書きがなければただのあるひとりの女の日記レベル。小学生の読書感想文コンクールでだって、この内容と文章力では箸にも棒にも掛からないだろう。
小説を恋愛でしか見てない浅ましさ。
浅い知識である話とある話を比較してみたり、名指しで芸能人のことを書いて見たり、何様かと感じた。

筆者のファンが、筆者のエッセイとして、筆者が好きだから筆者の書く文はなんだっていいから読みたいのだ、として読む分には全く問題がないと思う。
が、文学系列の雑誌に、作家という仮にもプロが連載し、それを解説本と紹介されていることを憂う。
はっきり言って、こんな本を解説本として読もうとする人≒文学を読んだことがない人
が、これを読んでこれを入口として文学を読み出すとは思えない。
読んだとして、文学を理解できるとは思えない。

そも文学は解説が必要なのは受験や試験のためであって、それぞれに解釈し、論じ合い、情景の美しさを感じ取るものだと思う。
それを仮にもプロが『解説』(しかもハーレクインと勘違いした体で)
してしまうところに怖さを感じる。

読み手のレベルが下がり、本の売上が下がって云々というが、
確かにこうした作品が流行るのは、読者のレベルが下がっているせいとも言える。
しかしながら作家やこういった原稿を出版してしまう出版社側にも、低レベル下して廃れていく責任の一端があると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 実用書・解説書・哲学書
感想投稿日 : 2010年1月1日
読了日 : 2008年9月29日
本棚登録日 : 2008年9月29日

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