ある人のblogで、
「気分が落ちているときにはお勧めできないが」
と紹介されていたので読んでみた。
確かにけして明るい話ではなく
息苦しいほど切ない物語ではあるのだが
透明感に満ちたストーリー。
コインランドリーのシーンは心に残った。
絵葉書や摘蕾のエピソードも良かった。
水割りの大好きな音が嫌いになるというのも、物悲しく感情移入しやすい。
わかれるのは相手も自分も否定することなのか。
裏切ることでしか始まらないのか。
個人的には、筆者が札幌出身ということで
雪や寒さ、都会の描き方に大して感じていたことに納得がいった。
日本語と、その曖昧さと複雑さで描かれるありきたりの風景の
なんと美しいことか。
真摯であることの神々しさ。
出逢うこと、関わることの奇跡と煩わしさ。
私たちの、持っているもの。
孤独な都会の片隅で壊れかけていく人たちが
美しい筆致で描かれている物語。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2010年2月7日
- 読了日 : 2009年2月24日
- 本棚登録日 : 2009年2月24日
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