こころ (新潮文庫)

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本棚登録 : 16779
レビュー : 1921
著者 :
夢で逢えたら...さん ナ行   読み終わった 

世間を恐れず己の信念のままに、自虐的とも言える生き方を貫く友人Kに、
彼の人生を根底から覆すような言葉を吐き、裏工作をして手に入れた妻。
先生はKに恋を諦めさせたかっただけなのに、
その言動はKの人格の全てを打ちのめし、死に追いやった。
主人公の私は親に言われるがままに、先生に就職の斡旋を乞う手紙を書く。
この手紙が私の思惑とは無関係に、結果的に先生を自殺へと導いてしまう。

人間の言動というものは、それを発する側の意図しない働きをすることがある。
軽い行き違いで済むものならいいが、
この話のように、取り返しのつかない事態になるかもしれないから、
言葉を発する際は気を付けなければと、感情的な私は思うのでした。

Kの自殺以来、先生自身もいずれは自殺するという予感を抱きながらも
実行に至らなかったのは、誰かに腹の中を全て曝け出し懺悔したかったのだろう。
自分の罪悪感と心情を酌んでくれる「真面目な人」に全てを告白したとき、
心の欲求が満たされ、この世の未練を断ち切ることができた。
本書は、先生がそうまでして手に入れた妻を置き去りにして、
自害するという究極の矛盾を描く事によって、
人間が人間たる所以の難解な「こころ」をあぶり出している。

レビュー投稿日
2014年12月20日
読了日
2014年12月20日
本棚登録日
2014年12月20日
10
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