月と六ペンス (新潮文庫)

  • 新潮社 (1959年9月29日発売)
3.81
  • (114)
  • (133)
  • (157)
  • (12)
  • (5)
本棚登録 : 1213
感想 : 144
3

何ものにも縛られたくないと公言している人の世話を焼くのは勝手だが、
それならばその結果起こったトラブルをも全て受け入れる覚悟が必要だ。
こうしてあげたら相手はこう思うだろうというような
一般の社会通念を彼に期待するのは愚かであり、独善である。
なぜなら彼は芸術家だから。

17年間連れ添った妻と子供を捨て、命を救ってくれた恩ある友人の妻を奪ったうえ、
彼女を自殺に追いやったストリックランド。
常識で考えれば、破滅的であり狂気の沙汰とも言える生き方だ。
しかし彼は自らの芸術を追求し、人々の胸を打つ作品を遺した。
この主人公はポール・ゴーギャンがモデルだと言われているそうだ。

およそ芸術家というのは、俗世間の常識や社会規範に囚われず、
本能のままに生きていく人のことを言うのだろう。
心を縛られず、真の自由を体現する芸術家だからこそ、
魂を突き動かすような作品を創造できるのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年7月25日
読了日 : 2014年7月25日
本棚登録日 : 2014年7月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする