あまりにも直接的なタイトルなので二の足を踏んでしまいそうだが、豊田さんの戦争をとめたいという気持ちが溢れるほど込められており、ここにも使命感を持って生きている人がいると思い、感動した。
イラク、パレスチナ、レバノン、アフガニスタンなどの紛争地をめぐり、そこに暮らす人々の日常を取材するなかで、豊田さんが体験したこと、感じたことを綴っている。
豊田さんは、以前は塾の講師とフォトジャーナリストの二足のわらじを履いていたのだけれど、パレスチナの難民キャンプで出会ったおばさんに
「ヒロシマ、ナガサキを経験したあなた方日本人なら、私たちのこの悲惨さを理解できるはずです。どうかこの現状を日本の人々にも伝えてほしいのです。」
と言う言葉に促されて、写真を撮るほうを選んだと書いている。
しかし、日本のマスコミでは思うように伝えられなくて苦い思いをしていることが書かれている。その代表的なものは、劣化ウラン弾だ。
劣化ウラン弾が打ち込まれた戦車などが放置されたままで、放射能はイラク全土を覆っている。そして子供の死亡率が異様に高くなり、癌、白血病に冒されたり奇形児がたくさん生まれている。人魚のような一本足、脳みそや内臓が飛び出ている、一つ目の赤ちゃんなど親に見せられないまま死んでいく赤ちゃんが増え続けていると。
豊田さんは癌に冒された少女にカメラを向けたら、付き添いの母親に次のように言われた。
「・・・何のためですか?私たちには何の役にもたちません。・・・(略)・・・私たちを助けてくれるんですか?どうやって?私たちは写真などいりません。欲しいのは薬なんです。」
それでも涙を流しながら撮影を続ける豊田さんに敬意を表する。
- 感想投稿日 : 2010年1月20日
- 読了日 : 2009年12月30日
- 本棚登録日 : 2009年12月30日
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