f植物園の巣穴 (朝日文庫)

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本棚登録 : 1206
レビュー : 146
著者 :
inarixさん ―梨木香歩   未設定

長いこと歯痛に悩む園丁は歯医者に行くことにした。
そこでは前世が犬だったという歯科医の家内が手伝いをしていた。どうにもあぶなっかしい治療。
麻酔を打つたび、薬を飲むたびに園丁は不思議な夢に墜ちてゆく。
懐かしき3人の「千代」。ナマズ神主、烏帽子を被った鯉、アイルランドの治水神。そして道行を共にする「坊」――。

昏い“穴”を覗けばそこに、忘れてきた過去が佇む。匂やかに動植物、水辺の風景を描く異界譚。

「家守奇譚」のような雰囲気と思いがちだったが、開けてみれば「裏庭」の世界観に近かった。
己が忘れ、またはとるに足らないこととして流し去り、または気づくことすらなかった過去と、そのために残る傷や心残りと向き合い、そうしてまた己の生きる世界に戻ってゆく。読後に漂う不思議な余韻が心地よい。

レビュー投稿日
2014年10月20日
本棚登録日
2014年10月20日
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