マリアビートル (角川文庫)

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本棚登録 : 9493
レビュー : 818
著者 :
inarixさん 作家名:あ行(その他)   未設定

この新幹線、降車できない――。

東京発盛岡行きの東北新幹線〈はやて〉。それぞれの目的を持ち乗り込む(元殺し屋)木村、二人組みの殺し屋、檸檬と蜜柑の果物コンビ。そして背中に七つの星……ではなく七つ以上の不運や悪運を背負っているような、気弱な殺し屋天道虫。さらにほかの業者までもが入り込み、天使的容姿を持つ悪魔的少年、王子が首を突っ込み、中学生ながら大の大人であるはずの業者たちを向こうにまわして事態をひっかきまわす。
しかもこの中学生、殺し屋相手に「どうして人を殺してはいけないの?」と問いかける。その問いは、決して正義感や善悪からくるものではないところが憎たらしい。

最高時速300キロで北へと疾走する密室のなか、一般の乗客の気づかぬ間合いで、業者同士お互いの思惑と隙とを探り合う思惑と殺気がぶつかり合う。

乗客のなかには、なんと『グラスホッパー』の主人公であった鈴木もいた。前作からはや数年、妻を喪った痛手から立ち直りつつある様子。しかし巻き込まれ体質は相変わらずで、周辺には殺し屋業の面々が集ってしまう。

禍福は糾える縄の如し、とはよく言ったもの。幸運も不運も、人生でのトータルは±0。不運が続いても嘆くことなかれ。幸運が続いても、驕ることなかれ。
駆け引き、取り引き、殺し合い、騙し合い、運を味方に、運に見放され――盛岡に到着するまで、息をつかせぬ怒涛の展開、そこにどこかほのぼのとした幕間をはさみつつ疾走する、『グラスホッパー』に続く殺し屋シリーズ第2弾。
この小説、一気に読んだほうがいい。

レビュー投稿日
2017年8月8日
本棚登録日
2017年7月16日
3
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