のぼりべつクマ牧場での勤務を皮切りに、ヒグマと深く関わって来た著者(前田菜穂子氏)による、ヒグママニュアル。
ヒグマの生態をつぶさに観察し、「対話」を重ねたからこその具体的な教えや対処法が興味深い。
「よいクマわるいクマ」というのはアイヌ目線の言葉であるらしく(途中、萱野茂氏のコメントや対談なども挟まれていて、それも貴重である)、人間が山を歩いている時に冷静に気配を察して立ち去るのがよいクマ、人間や人間の食べるものに興味を持ったり逆上して襲ってくるのがわるいクマということだが、結局わるいクマは、人間の不注意や山での傲慢なふるまいが作るものであるということで、実に身につまされる話である。
不幸にして山でヒグマに出合ってしまったら、絶対に背中を向けない、クマスプレーやナタを持っていなかったら頸動脈を押さえてうずくまる等は(そういう目に合いたくないけど)心しておきたいところだ。
掲載されている写真(ヒグマのいる情景=稗田一俊氏)も素晴らしい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
生物
- 感想投稿日 : 2019年6月4日
- 読了日 : 2018年8月27日
- 本棚登録日 : 2018年8月27日
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