華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

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本棚登録 : 836
レビュー : 152
著者 :
制作 : 山本ゆり繪 
hyper-i-onさん SF   読み終わった 

これは私たちに残された、最後の知性だ。…上田早夕里「華竜の宮」一気読み!久しぶりに初見大会で大当たり出して、いい気分( ̄▽ ̄)。

SFの面白さ。オリジナリティの高い物語であればあるほど、読者をその世界に引きずりこむためのディテールの説明は欠かせない。それをいかに魅力的にこなすかが、SF作家の腕と言っても過言ではないと思う。上田早夕里は、それにちゃんと成功している。

銀座の居酒屋で、じわりと着火した科学者の不安が、一息に現実化していくのに魅了されていたら…ええ、これがプロローグ(((((;゚д゚))))…なんて圧倒的!

メインの語りの視点が、主人公のアシスタント知性体というのがまた面白い。人間という知性体の思考について、彼は「それを音楽のように聴いている」と言う。それは決して綺麗な音楽ではない。音程は外れ、リズムは乱れ、しっちゃかめっちゃかで、どうしようもないものだ。けれども君の中にあるそれは、確かに、人間にしか作れない音楽だ。人はそれこそを感情と呼び、疎ましく感じながらも、愛おしく思う…。

結局、滅びしか待っていないのだとすれば、人類はその生きる意味を、終局までの道程に見出すしかない。その道程から、どれほどの苦悩を取り除けるのか…。そこが人類の知恵の見せ所だな。海上民ウツブシの言葉がじんわりと染みる。

ヒトが持つ愛情と知性、傲慢さと利己主義とを、ダイナミックな黙示録に乗っけて描いた大作。とっても面白かった!結構な薀蓄量なのに、全くナナメ読みせずにすんなり頭に入ったぞ。雪風は5回以上読み返して、ようやく細部まで理解したがな…(笑)。メカニックな方向より、地学や生物学の方が飲み込みやすい私の脳味噌。うん、他の作品も読んでみようと思います。

レビュー投稿日
2014年1月26日
読了日
2014年1月26日
本棚登録日
2014年1月26日
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