凍りのくじら (講談社文庫)

4.03
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本棚登録 : 12971
レビュー : 1580
著者 :
片山るんさん 新刊   読み終わった 

2005年の作品なんだけど、今出会ってよかったなと思えた本。
解説で瀬名秀明さんが「主人公に共感する人は少ないかもしれないが、ドラえもんはみんな好きだよね」というようなことを書いていた。
私は逆。実はドラえもんがあまり好きではないのだ。映画版ならまだいいんだけど、アニメのドラえもんはいつも見ていてイライラする。のび太があんまり好きじゃないんだな。コミックは読んだことがない。
それよりも、理帆子の「回りから常に距離を置く」生き方に深く共感した。自分にもそういうところがある。
だから、若尾との関係をきっぱり絶たなかったところは、わかるわかる、と思ってしまったんだなあ。
たぶん、「どうでもいいんだ」と見下しているから、あんなふうに誰とでもあっさり付き合えるんだろう。
でも、理帆子の本心は全然違ってた。だって、ドラえもんを愛し、藤子先生を敬愛しているんだから。そんな人が、心の底からあんなふうにドライに振る舞えるはずがない。なんだか無理してるよなあ、無理やり自分に言い聞かせてるよなあという痛々しさがずっとあった。
だから、終盤、ようやく自分の本心に気づいてくれて、ほっとした。お母さんが亡くなるあたりの取り乱しぶりは、まるで自分のことのようで泣けてきた。
他のレビューを読むと、かなり早い段階で「別所あきら」の正体に気づいている人が多いのだが、私は最後までわからなかった。種明かしの一文を読んできょとんとしてしまったくらいだ。え、そこだけはそういうテイストなんですか?って感じ。
人に対する関わり方がとても素敵で、いいなあと思っていただけに、ちょっとショックだった。
まあしかし、「スコシフシギ」だからそれでいいのか。
ラストは、天空から一筋の光が差し込んできているような雰囲気で、とてもよかった。

レビュー投稿日
2014年10月17日
読了日
2014年10月17日
本棚登録日
2014年10月17日
4
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