倫理的な戦争

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レビュー : 9
著者 :
i-boatさん  未設定  読み終わった 

本書はコソボ・イラクの歴史、ブレアの判断の過程を追いながら「正しい戦争」について考えさせる。ブレアにとっては両者とも「倫理的な戦争」であり、少なくとも過去繰り返された正義の皮を被った帝国主義戦争とは違ったものであった。しかし、「倫理的な戦争」は常に「正しい戦争」であるとは言えない。むしろ、「正しい戦争」であることは稀有であろう。戦争以外の手段は検討されたか、戦争に際しての手段は適当だったか。
コソボにおいては事態の深刻さが明らかであり、それは国際的に認知されていた。手段の適当性への疑問があるものの、正当化され得るものであった。一方イラクでは、事態の深刻さが「大量兵器」によって粉飾されるなど、当初から正当性が疑われるものであった。そのもとでは、如何に主観的正義を唱えようとも無意味なのは言うまでもない。
戦争においては秘密はつきものであり仕方がないものもある。しかし、参戦における判断過程、特に参戦を必要とする状況の深刻さと参戦によってもたらされる効果についての検証は、主観的正義抜きに検証されて然るべきであろう。本書のような「歴史書」はまさにそのような記録を残すことの必要性を訴えている。

レビュー投稿日
2015年10月23日
読了日
2015年10月23日
本棚登録日
2015年10月23日
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