*口にフックをかけられ、マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。街を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の犯行だった。第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに…。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の目的とは?正体とは?警察は犯人をとめることができるのか*
どんでん返しの帝王、ここに極まれり。しかも三重構造。完全に騙されました。表舞台の喧騒だけでなく、静かに満ちていく市民の恐怖や慄きが行間から滲み出るような技巧もさすが。乱闘シーンがやや冗長ですが、小気味良くスピーディーな展開に一気読み。お見事としか言いようのない作品。
三十九条にしてやられた者、助けられた者、利用される者、復讐する者…考えさせられる内容もさることながら、老教授の静謐な怒りの言葉が胸を衝く。”だが、それは人を食らった獣を再び野に放つことだ。野に放てと叫んだ者は、その獣と隣合せに暮らす恐怖を味わう義務がある”。神の復讐を待てず、自ら神になった彼の復讐の続きを、最後まで見たい気もする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
闇夜でtango
- 感想投稿日 : 2019年6月19日
- 読了日 : 2019年6月19日
- 本棚登録日 : 2019年6月19日
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