パイロット版プレゼントに当選し、発売に先駆けて読ませていただきました。
ありがとうございました。
著者の石川さんからの手紙に、
「この作品は、弱者が強者に抗うということをテーマにしており、閉塞感のある現代に向けて書いたものです。」
とありましたが、色々と感じるものがありました。
「被害者の立場になって考えない。弱者の立場になって考えない。それが今のこの国です。我慢しろ。殺されたことはもう仕方がないじゃないか。死んだ人間は戻ってこない。憎しみに捕らわれていないで生きなさい。明日を見て歩け。傍観者はそう言って、遺族や弱者を丸め込み、なかったことのように扱う。弱者は常に我慢し、自殺者は自業自得。不幸も、貧困も、犯罪に巻き込まれることだって自己責任という言葉で片づけたがる」
「強者は常に守られる立場にあり、弱者は切り捨てられる存在なのです」
この言葉が心に突き刺さりました。
現実の世界で私も傍観者の一人でした。
グレイはその状況を「再配分」しようとします。
「弱者に強者に抗う可能性を与え、強い者に恐怖心を植えつける。そうすれば傾きすぎたシーソーを戻せるのです。」と。
しかし、そう言いながらその行為を是としなかったグレイ。
それが人の心なのだと思います。
そしてグレイに見届ける役目として選ばれた遼太郎。
遼太郎のスカウトは偶然で、必然。
グレイは遼太郎に「人を救うことを手伝って欲しいと思っています」と告げますが、きっと救って欲しい「人」の中に自分も含まれていたのでしょうね。
最後に遼太郎はグレイに「この国の成り行きを見届ける。そして、見届けるだけではなく、行動する」と誓います。
「まずは身近な人から守ろう。初めは、そこからで十分だ。」と。
私もまずそこから行動していこうと思います。
- 感想投稿日 : 2012年2月20日
- 読了日 : 2012年2月20日
- 本棚登録日 : 2012年2月20日
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