「武士道」解題〔小学館文庫〕: ノーブレス・オブリージュとは (小学館文庫 R り- 4-2)

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  • 小学館 (2006年4月6日発売)
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感想 : 20
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読み終わった, まずは、本書の抜粋を読んでください。---231~232ページ かつて、ルース・ベネディクトは、名著「菊と刀」の中で、「日本人は『恥の文化』に生きてきたから、『罪の文化』にとらわれてきた西欧人とは全く異なった、世界でも特異なアイデンティティーを確保するに至った」 と指摘しました。しかし、いまの日本のどこに真正の「恥の文化」が生き残っているというのでしょう。カーライルも、「恥はすべての徳、善き風儀ならびに善き道徳の土壌である」 と言い切っています。敗戦の直後に、アメリカの高名な文化人類学者から、「日本人の国民性」をあれほどまでに高く賞賛されたというのに、この直後から、自らの足で「武士道」を踏みにじり、「恥の文化」を捨て去った ――― これが、私が最も愛した日本というすばらしい国における戦後史の偽らざる実態であったとすれば、かえすがえすも無念至極なことと言わざるを得ません。--- 著者は元台湾総督、李登輝氏です。日本人よ、自信を持て、日本人よ、「武士道」を忘れるな、と戦前、戦中を日本人として生きた著者は、我々に呼びかけます。日本をこれほどまでに愛し、自身の祖国と中国との関係悪化の危険性を冒してまで本書を出版した李登輝氏の心情には、計り知れない尊さを感じざるを得ません。 今の日本は、世界に類を見ない自虐的史観を持ち、一方で、小ざかしい処世術と、拝金主義がまかり通る情けない国家となってしまいました。しかし、このような状況を予期し、警鐘を鳴らし、本来、大和民族に備わった精神文化を伝える著書を残した新渡戸稲造を生み出したもの日本であり、非征服民である李登輝を前述のような心情たらしめたのも日本であります。今こそ、個々人が、本来の日本精神文化とは何か、本書や、武士道(新渡戸稲造著)に問うべき時なのではないでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年10月23日
読了日 : 2008年2月3日
本棚登録日 : 2018年10月23日

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