氷に覆われていく世界。追い求める相手は逃げ、災難は払っても払っても降り注ぎ、理不尽に巻き込まれ。読んでてもちっとも楽しくならないのにどんどん引きずりこまれる。陰惨というほどの積極性のなさはこの作者の持ち味か?
イメージはバラードの「~世界」系ですが…「~世界」は、あくまで変容していく世界が主人公(?)で、登場事物たちがそれにひきつけられていくのに対し、「氷」では世界の異変より個人の事情が優先するのが21世紀の現代的過ぎて不気味。
「ちょっとー、地球が大変なことになっているんだよー、放っておいていいのー?」って。というか、「主人公張っているんだったら、もっと世界と関わろうよ、君ら」みたいな。
改訂版ですが、小奇麗過ぎる装丁がちょっと無神経。
読書状況:読み終わった
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➖2014/10
- 感想投稿日 : 2014年10月2日
- 読了日 : 2010年8月30日
- 本棚登録日 : 2014年10月2日
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